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「私は遣り切りました」女子バレー代表辞退を申し出た“必要だった選手”《中田久美前監督・五輪後初インタビュー》――2021年BEST5

新鍋、佐藤の引退、長岡の故障、エース古賀も… 中田久美独占インタビュー #2

2022/01/28

source : 文藝春秋

genre : スポーツ, 社会

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「責任は起用した私にあります」

――決勝ラウンド進出がかかっている韓国戦の第5セットで14-12とマッチポイントを取りながら、セッターの籾井選手がサイドの石川選手に4回連続でトスを上げ続けたことも疑問視されました。

中田 その考えはどうでしょう……。私もセッター出身者ですから籾井選手が石川選手にトスを上げ続けた思いは理解できるんです。

東京五輪での一幕 ©JMPA

 石川選手と籾井選手はトスとスパイクの関係を四六時中話し合っていました。籾井選手は石川選手にこういうタイミングで入ってきて欲しいとか、石川選手はこういう場合はこんなトスが欲しいとか、かなり擦り合わせをしていた。テンポの良いコンビバレーはお互いの能力を引き出し高め合わないと完成しないので、時間をかけて解決していくしかないんです。籾井選手と石川選手は積極的に取り組んでいましたし、逆に短時間の中であれだけバレーを展開できたことを私は評価していましたね。

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 セッターは究極の場面で、最も信頼できるアタッカーに上げるのが定石なんです。だから籾井選手は石川選手に上げ続けた。石川選手に託したんだと思います。結果的に負けてしまいましたが、私は籾井選手を責める気持ちにはなれませんし、そこを否定したら籾井選手の成長や良さがなくなる。もちろん、まだ粗さやセッターコール(コンビの組み合わせ)の問題、課題はありますが、籾井選手のトスで勝てた試合もあるし、そしてそのトスで負けたのですから責任は起用した私にあります。

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