文春オンライン

ジャカルタ発“快速 東葉勝田台行”、スリランカ“昭和末期の日本の風景”、極まる3密…もはやなつかしい? 思わず二度見してしまう“アジアの駅”

2022/01/30
note

(2)コロンボ・フォート駅(@スリランカ)

朝のコロンボ・フォート駅。サリー姿で通勤するOLの姿は日常の一コマ

 スリランカ最大の都市であるコロンボ(首都はコロンボ郊外のスリジャヤワルダナプラコッテ)では、イギリス統治時代の1908年に開業したコロンボ・フォート駅に都市のターミナル機能が集中している。

 先進国の主要駅のような近代的な駅ビルの姿はなく、やや小さめなヴィクトリア様式の古風な駅舎の裏側に広がる駅構内は、全体がドーム型の屋根に覆われていて昼でも薄暗い。この構内から、地方への長距離列車だけでなく近郊の通勤列車も同じように発着するため、決して広くない駅構内はいつも旅客であふれている。

コロンボ・フォート駅構内。屋根のせいで昼でも薄暗い

 にもかかわらず、どの列車も車体が大きい。スリランカの鉄道は線路の幅が1676ミリもあって、日本のJR在来線(1067ミリ)や新幹線(1435ミリ)よりも広いからだ。

ADVERTISEMENT

 朝夕の通勤ラッシュ時間帯になると、その巨大な車体の乗降デッキに旅客が鈴なりになっている通勤列車が次々と発着する。基本的に列車のドアは手動式なので、混雑時はドアを開けたまま。そこに通勤・通学客がつかまったまま走る列車は、日本でも昭和末期までは全国で見られた光景である。

朝の通勤ラッシュ(コロンボ・フォート駅)

 そんな慌ただしい通勤列車と同じ空間から、列車の最後尾に1等展望車を連結した豪華特急も発着する。スリランカの鉄道は3等級制を採用しており、通勤列車などは基本的に3等車。上級クラスは2等車が多く、1等車はごく一部の優等列車にしか連結されない。JRの普通車とグリーン車よりはるかに格差がある。

乗降デッキにもつかまる場所がなく、窓枠にしがみつく客の姿も(コロンボ・フォート駅)

 そんな客車が出発を待つホームには、同じ駅構内なのに、通勤客が車体にしがみつく通勤列車の発着ホームとはまるで異なる、悠然とした空気が流れている。