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“ハイスペック人材”にならないと生き残れない? OECDの“ものさし”から抜け落ちているもの

『子育ての「選択」大全』#2

note

 だって、そうやって育てられてしまうと、“ハイスペック人材”になれたひとたちは自分たちが“勝ち組”として生きていて当然だと思うでしょうし、“ハイスペック人材”になれなかったひとは自分たちが“負け組”になったのは自分たちのせいだと思い込んでしまうでしょう。

 気候変動も限界が間近です。人工知能や「メタバース」の発達が数十年後の人類の生活にどんな影響を与えるのか想像すらできません。そんな時代に必要なのは、“勝ち組”になって自分だけ生き残ることではなく、みんなで支え合える社会をつくることです。

 これ、VUCA時代の親に必要なリテラシーの4つめです。

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その時期にしかできないことをする

 このような文脈を踏まえて、これからの時代を生きる子どもたちに必要な力を私なりに分類して名づけると、図2のようになります。

『子育ての「選択」大全』(KADOKAWA)より。イラスト(C)玉井麻由子(MORNING GARDEN INC.)

(1)そこそこの知力と体力

(2)やり抜く力

(3)自分にはない才能をもつひととチームになる力

(1)の「そこそこの知力と体力」は、一般的な学校での生活ができているなら十分です。何らかの事情で学校に通えていなくても同世代のお友達と楽しくおしゃべりして遊べるくらいの知力と体力があれば十分だというイメージです。

(2)の「やり抜く力」は、小さいころであれば習い事、中高生なら部活、あるいは受験勉強経験でも養われるものですが、前述のように、強力な意志の力というよりははっきりとした「自分軸」をもつことが重要です。

(3)の「自分にはない才能をもつひととチームになる力」は、さらに、「スペシャリティー」と「コラボレーション力」に分けられます。

 多様な才能をもつひとたちが集まるチームに加わるには、どんなことでもいいので他人にはない才能をもっていなければいけません。それがスペシャリティーです。そのためにはやはり自分軸が必要です。ただし、たとえばその場にいるだけでまわりのひとたちがなごむというのだって、立派な才能です。

 コラボレーション力はさらに「共感的コミュニケーション力」と「論理的コミュニケーション力」に分けられます。

 仲間意識をもったり、相手の立場を思いやったりしながら自然な感情の動きとしてできるコミュニケーションが共感的コミュニケーションです。

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