文春オンライン

「埼玉の人はなぜか他県のものをありがたがる」沖縄出身オーナーが大宮で喫茶店を続ける理由〈ちむどんどん最終回〉

大宮・伯爵邸インタビュー #2

2022/09/30

genre : ライフ, 社会

note

24歳で大宮・伯爵邸をオープン

――それほど遠くはないのに、ガラッと変わるんですね。そんな川口の雰囲気は気に入ったのですか?

 うーん、東京から来るとちょっとほっとするというか。たまたま手ごろな空き店舗が見つかったというのもあるんだけど、とんとん拍子で話が進んで。その小さな店が軌道に乗ったころ、ちょうど大宮でいい空き物件が出たというので見に行きました。

――それが大宮の「伯爵邸」ですね。20代で2店舗目とはすごいですね。

ADVERTISEMENT

 そう。時代が良かったのもあるんだけど、その大宮の店舗は、ちょうど駅からも近く、まわりに学校やデパートもある。思い切って借りて、24歳の時にオープンしました。今は西川口の店は人に経営をまかしていて、直接、経営しているのは、この大宮の「伯爵邸」だけなんだけどね。

 

喫茶店にコピー機を置いた理由

――その「伯爵邸」ですが、24時間営業、年中無休、メニューは300種類と喫茶店にしては思い切った経営を続けてこられましたね。

 時代に合わせてとりあえず何でも挑戦してみています。このフロアのど真ん中にコピー機を置いたこともあったよ。

――喫茶店にコピー機?

 いつ頃だったかな? 80年代のはじめくらいだったかな。うちは埼玉の大学生がくるし、オフィスもまわりにある。でも、まだコピー機は高価で、小さな会社や学校では置いてなかったから、コピーを取るついでにコーヒーやランチに来てくれるんじゃないかと。実際、試験前になると学生さんがノートを持って来てくれました。

「お腹いっぱいになってほしいから」という理由で、普通のお店の2倍の量を目指しているという

――友達に借りたノートをコピーするんでしょうね。

 ええ。それでコーヒーを頼んでテーブルで勉強もしていく(笑)。ほかに時代に合わせて力を入れたことといえば……最近では、デザートに力を入れました。昔の若者はよく飲みましたが、最近の若者は男女問わずデザートをよく注文してくれるんです。それでスマホで撮影して、SNSで紹介してくれる。

関連記事