2019年6月、45年に及ぶ現役生活に別れを告げた長州力。以来、バラエティ番組を中心にテレビで活躍し、軽妙なツイッターでも人気を集める彼は、今年の初め熱海に移住した。なぜ東京を離れることに決めたのか。デビューのきっかけになったアントニオ猪木との出会い、命を懸けて取り組んだプロレス、故郷・山口県への想い。熱海の自宅でこれまでの歩みを振り返った。(全2回の1回目/2回目を読む)

©佐藤亘/文藝春秋

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出身の山口県周南市(旧徳山市)ではなく、なぜ熱海を選んだのか

長州力さん(以下・長州) んっ、なんで文春さんがここに来たの? 

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――いや、長州さんが熱海に引っ越したと聞いたので、ぜひお話を訊きたいなって。

長州 僕の方からはなにも話すことはないですよ。うん。別に知ってくれとは思わないし(笑)。

――いやいや、プロレス界のスーパースターだった長州さんが東京を離れどんな暮らしをしているのか気になりまして。

長州 なーにが、スーパースターだよ。ホント、大きなお世話ですよ(笑)。

――いやいや、そんなこと仰らずに……いつから熱海にはお住まいなんですか?

長州 ……。家族は昨年末から入っていて、僕は新年からですよ。

©佐藤亘/文藝春秋

――長州さんは2019年6月にプロレス引退をなさっていますが、以前からここに住みたいと思っていたんですか。

長州 家内の意向だったんです。うちの家内は資格マニアで“宅建”を持っているんだけど、僕がリングを降りる2~3年前から物件を探していたんです。まあ僕も体があちこち悪いし結構しんどいから、まあ何だろう、環境のいい場所で歩いて運動したり、温泉にでも入ってゆっくりしたらということで、こっちに来たんです。