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「埼玉の人はなぜか他県のものをありがたがる」沖縄出身オーナーが大宮で喫茶店を続ける理由〈ちむどんどん最終回〉

大宮・伯爵邸インタビュー #2

2022/09/30

genre : ライフ, 社会

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川口に従業員のシェアハウスを

――パフェも大盛りですから若い人は喜びますよね。でも、コロナになってからは「伯爵邸」も大変だったのでは?

 そりゃ、店を閉めないとならないし大変でしたよ。でもコロナを機会に、店の衛生をしっかり見直すことにしました。ほら、天井を見て。換気に優れたクーラーに替えたり、厨房もこの際、新しいものに全部、取り換えたんです。

――時代に合わせて変えていくんですね。今はどんなことに取り組んでいますか?

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 福利厚生です。

――スタッフさんの?

 そうです。今は従業員が27人いるんだけど、そのうち6人が外国籍なんです。海外から来たスタッフも日本で生活しやすいように、川口に従業員のためのシェアハウスを作っています。社会保険や労災保険、失業保険なんかもきちんとして、従業員の家族も安心して暮らせるように。やっぱり、働く人のちょっとした安心感の差が、店のサービスの質につながるからね。

 

「埼玉の人はなぜか他県のものをありがたがる」

 沖縄から埼玉に移住して半世紀。沖縄の伝統や営業スタイルを取り入れたり、ゴーヤチャンプルーなどの沖縄料理を広めたりと故郷愛の強い宮城さんだが、大宮への地域貢献も積極的に行っている。

――看板メニューの「大宮ナポリタン」を最初に考案したのは宮城さんですよね。それに埼玉の野菜で作った青汁をまぜた「盆栽ビール」など、この地域の野菜を使ったメニューがけっこうありますね。

ビールに青汁という意外な組み合わせの「盆栽ビール」

 昔、大宮の「そごう」で働いていた人にこんなことを言ったことがあるんです。「そごうでは、東北とか北海道フェアはよくやっているけど、地元、埼玉の物産展をどうしてやらないの? たくさんいいものがあるのに」って。

――埼玉の人は埼玉の良さに気が付かない?

 そうなんです。埼玉ってこんなに美味しい野菜や肉をたくさん作っているのに、北海道や京都とか他の地域のものばかり、なぜかありがたがる(笑)。

 それで、私も大宮を盛り上げようと、「大宮ナポリタン」を考えたの。ナポリタンのオレンジ色は、Jリーグの大宮アルディージャのチームカラーでしょ。今では大宮の飲食店が次々と参加してくれて、各店のオリジナルの「大宮ナポリタン」を作ってくれていますよ。

――私もおいしくいただきましたが、「伯爵邸」の「大宮ナポリタン」は具材がいろいろ入っていますね。カイワレやニラが入ったナポリタンは初めて食べましたが、これも大宮産ですか? 

 ええ。カイワレは大宮の名産ですし、ニラは香りをよくするためで、沖縄でも料理によく使います。

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