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「え…こんな場所に…!?」山中にひっそり佇む…美食家が集うナゾの廃校オーベルジュ”に潜入してみた

「え…こんな場所に…!?」山中にひっそり佇む…美食家が集うナゾの廃校オーベルジュ”に潜入してみた

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オーベルジュならではの嬉しいポイント

 蛤の出汁を使用したフラン(茶碗蒸し)、石川の伝統発酵食品である「こんか鯖」を用いたタコス、彩り鮮やかな大根が美しいサラダ、アスパラガスと山採れのキノコを炙った松茸とともに仕立てたリゾット、パリッとした皮目とふっくらとした身の味わいが口いっぱいに広がるナメラ(キジハタ)、火を入れた後に藁で炙って香りを付けたウリボー……。さらに、食後のハーブティとデザートまで。一皿一皿丁寧に味わっていると、次々に食の世界の新たな扉が開かれるような思いだった。

ナメラのソテー。パリッとした皮目と、分厚いふっくらとした身を一気に頬張る。キノコをベースにしたソースは、レモンタイムというハーブが加えられており、華やかな香りがふわっと広がる
一頭買いしているウリボーがメインディッシュ。火を入れた後に藁で炙って香りを付けているため、脂身まで味わい深い甘さになっている。なお、コースは8800円(サービス別)でワインのペアリングを付けることが可能。ワインの一部は日本酒に変更してもらうこともでき、6600円(サービス別)でノンアルコールドリンクのペアリングも用意されている

 贅沢な食事を楽しむのは、旅先での大きな楽しみの一つではある。ただし、宿泊先とレストランが近くにあるとは限らない。その点、食事をじっくり堪能した後、そのまま上階の部屋へ戻ってゆっくりできるというのも、オーベルジュならではの嬉しいポイントといえるだろう。

シェフの糸井章太さん

 シェフは日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」において、史上最年少の当時26歳でグランプリを受賞したという華々しいキャリアを持つ糸井章太さん。

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 京都で生まれ、日本をはじめ、フランス、アメリカで修行を積んだ糸井さんが、縁もゆかりもなかった石川県にオープンしたオーベルジュのシェフに就任したのにはある理由があった。