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「揚げ置き天ぷらの美学」とは…? 立ち食いそばを支える名裏方・天ぷら卸の「一匹狼感」が素敵すぎた

「揚げ置き天ぷらの美学」とは…? 立ち食いそばを支える名裏方・天ぷら卸の「一匹狼感」が素敵すぎた

2023/02/14
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裏方として生きるか新たな活路を目指すか

 さて、売上げを増やすにはどうすればいいか。そんな中、鎌倉の知り合いの製麺所の社長から勧められたのがきっかけで、平成22(2010)年からデパートの催事で小売り販売を始めることにした。

「初めは高島屋で、私が実演で天ぷらを揚げ家族総出で売り場に立ちました。徐々に催事の仕事が増えていき、現在は悠生が担当して実演販売を頑張っており、彼の努力で必ず立ち寄ってくださるお客様も増えてきました」

 催事では高級天種をそろえメリハリをつけているとか。子安の知り合いの漁師からアナゴを仕入れたり、鎌倉腰越産のしらすで「しらすのかき揚げ」を提供したりと奮闘中である。次回は3月7日~13日、そごう横浜店で販売予定という。

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 また、岩田社長の奥様が天ぷらの箸休めにうってつけの和風のピクルスの販売を始めたという。

「卸は今後も手堅く販売を続けていき、催事で知名度を上げていきたい。ピクルスの販売もその一環。将来は一般向けの天ぷら店もやってみたい」と岩田社長は熱く語る。

催事の天重の様子(天ぷらいわた提供)
催事で販売のしらすのかき揚げは人気(天ぷらいわた提供)
催事での天ぷら実演販売の様子(天ぷらいわた提供)
ピクルスの製造も開始した
だいこんや蕪、昆布や柚子などが入ったタイプ
催事でのピクルス販売(天ぷらいわた提供)

つゆにつけると天ぷらの味が華開く不思議

 1時間半以上の大盛り上がりの取材になってしまった。催事場での岩田悠生さんとの再会を約束して本社工場を後にした。