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貴乃花、河野太郎「異端児」たちの生きる道

「週刊文春」2月15日号最新レビュー

2018/02/10
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刀折れ矢尽きたかのような言葉

 自らが興した貴乃花一門からは阿武松親方も出馬して当選したこともあって、貴乃花親方は「今後は自分の部屋と一門を、陰となり日向となり、支えていくだけ。もう『貴乃花』の名前は、前面に出なくてもいいんじゃないですか(笑)」と刀折れ矢尽きたかのような言葉を残す。

 実際、「貴乃花を座敷牢に放り込め!」(週刊ポスト最新号の見出し)、「3階級降格のヒラ委員で、もぎり係に」(FLASHの小見出し)などと、報復人事が予想されている。はたして不惜身命でチケットをちぎりながら、次の選挙まで冷遇を不撓不屈でしのげるだろうか。

貴乃花親方 ©JMPA

異端ぶりを潜めた政界の「異端児」

 角界の異端から政界の異端に話をかえると……

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「〇九年の総裁選に出馬し、落選。このとき推薦人になってくれた人に対し、その後、何の手当てもしなかったことが物議を醸しました」(自民党関係者)。河野太郎の人物評である。

 このような甲斐性無しの河野も、今ではポスト安倍のダークホースの呼び声が高いと文春の「『異端児』から総裁候補へ 存在感を増す河野太郎外相」は報じる。それは政治家としての器量が増したからかといえば、そうでもないようだ。

 河野は自民党議員であっても反原発を謳うなど独自路線を歩んでいたが、入閣するなり、そうした持論を封印する。その背景を記事では自民党関係者がこう解説する。

「派閥の長である麻生太郎財務相から『政府の方針に従え』と言われたことを忠実に守っているそうです」。それゆえに核兵器の先制使用も辞さないとする米国・トランプ政権の新核戦略「核体制の見直し」(NPR)についても追従し、「高く評価する」との談話を発表する。

河野太郎外相(右は池上彰氏) ©白澤正/文藝春秋

 つまりは異端ぶりは鳴りを潜め、その甲斐あっての「ポスト安倍」であった。

 持論を貫くよりも従順であること、これが組織における処世ということだ。貴乃花親方もそうした世渡りをすればいずれは理事長になったであろうか。しかしながら持論を貫く異端を選んだのは、ガチンコ横綱だったプライドか、はたまた単に変わり者だからか。

貴乃花、河野太郎「異端児」たちの生きる道

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