「痛みに耐えてよく頑張った、感動した」と横綱・貴乃花を讃えた小泉首相、そのもとで外務大臣を務めたのが田中真紀子であった。当時、田中真紀子は外務省を「伏魔殿」と呼んで話題になる。伏魔殿とは「①魔物が隠れている殿堂。②陰謀や悪事が常に行われている所。悪の根城」(『大辞林』)のこと。相撲界はまさにそれだ。
伏魔殿の大物キャラ 池坊保子の登場
日馬富士による貴ノ岩への暴行事件に端を発する相撲協会の内部抗争は、年が明けると貴乃花親方の理事解任にまで発展する。この解任劇の中心に立ったのが、日本相撲協会の評議員会議長である池坊保子だ。伏魔殿の大物キャラといえる。
週刊文春最新号のトップ記事は「『貴乃花はクスリをやってるみたいに異様』と吹聴していた池坊保子」。池坊議長の人となりや来歴を明かし、さらには直接取材する。
理事解任の理由として、貴乃花親方が危機管理委員会への聴取協力を拒んだり、八角親方からの電話に出ないといった「礼を欠いた」行為があげられているが、記事には「『礼を欠いた』とする発言は評議員会の総意ではなく、池坊氏の私見だったようです」とあり、それどころか池坊議長は「部屋取り潰し」まで考えていたとみられるとさえある。
「部屋取り潰し」まで言い出すとは穏やかでない話だが、そんな池坊議長は名家の出。なにしろ「華族の習わしとして乳母に育てられ」たほどだ。家が元麻布とか芦屋とか、幼稚舎からの慶應ですとか、そういうレベルの話ではない。乳母である。
そんな池坊氏は96年、衆院選に当選し国会議員となる。なにしろ乳母日傘のお嬢様である。「これ、やっといてちょ~だい」とスタッフに命令していたと当時を知る者は証言する。また文科省副大臣となると、「人使いが荒く、省内の評判は悪かった。部下の官僚が新聞で大きく扱われたりすると『私より大きく載ってる! なんであの人が取材されるの?』と怒っていたそうです」(元文科省幹部・談)