田中真紀子に通じるものがある
こんな調子だからか、「出来の悪い田中真紀子」と言われていたという。上手いことを言うもんで、なるほど「人間には敵か家族か使用人の3種類しかいない」の田中真紀子に通じるものがある。もっとも記者が元文科省幹部の評を本人に伝えると、「真紀子さんは人の意見を聞きません」からの、「人の意見に耳を傾けて欲しい」と貴乃花への苦言につなげて、上手いこと切り返すのだが。
今回解任劇の主役となった池坊議長だが、かつて漢検協会の理事長であった際、その職を解任された過去を持つ。また当時、漢検協会の展示会を自らの親族の関連施設で開催することで、協会の資金を自身の利益にする行為と取られる可能性を文部科学省に指摘されている(注1)。ここでも公設秘書の給与をピンハネしたとされる疑惑で議員辞職に追い込まれた田中真紀子に通じるものがある。
いずれにせよ評議員会は、理事会を監督する立場から暴行事件や八角親方と貴乃花親方の対立を公平に対処することで結果、仲裁役を果たせたかもしれなかったが、そうは機能しなかった。
「すったもんだがありました」と振り返れる日は
またスポーツライターの二宮清純も月刊文藝春秋2月号の相撲界をめぐる鼎談で、「モンゴル人力士なら一七年一月に世を去った元小結の時天空、貴乃花親方の周囲なら、貴乃花部屋の部屋付き親方でもあった元大関の貴ノ浪(一五年に逝去)。彼らが生きていれば、もう少しうまく周囲と意思疎通が図れていただろうに」(注2)と調整役の不在を嘆き、小錦をうなずかせている。
今からちょうど四半世紀前の1月、貴乃花と宮沢りえは婚約を解消する。後に宮沢りえはCMで、そのことをほのめかすかのようなセリフ「すったもんだがありました」で一世を風靡する。伏魔殿のなかで孤立に耐えてよく頑張り、「すったもんだがありました」と振り返れる日が、貴乃花親方にも来るのだろうか。
(注1)産経新聞 2010年10月23日 大阪朝刊
(注2)小錦八十吉/二宮清純/横野レイコ「貴乃花と白鵬 ねじれた横綱像」