指定難病「巨大動静脈奇形」を患い、19歳の時に左足の太ももから下を切断した、今西柊子さん(26)。現在は義足をつけたモデルとして活躍している。
東京パラリンピック開会式のオープニングムービーにも登場し、話題となった今西さん。彼女は左足を切断したあと、なぜモデルを志すようになったのか。障がい者に対する偏見をどのように感じているのか。話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)
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「痛みがまったくないのに驚きました」左足の切断手術後の心境
――切断手術後のことを教えていただけますか。
今西柊子さん(以下、柊子) 手術が終わって気がついたときには、全身にたくさんの管がつながれていました。そんな自分の姿を見て、「大変な手術だったんだな」と思いましたね。
ただ、しばらくは麻酔が効いていたから、なんだかぼんやりしていて。足がないのを実感したのは、数日後に管が外れて、車椅子で院内を移動できるようになってからでした。
――「足がない」と実感したとき、どんな心境でしたか。
柊子 まず、痛みがまったくないのに驚きましたね。
――それまでは、常に左足の痛みに悩まされていたとお話しされていましたよね。
柊子 ベッドで少し身体を動かすだけでも、車椅子で移動するだけでも、激痛が走っていました。それが、いくら動かしてもまったく痛くないんです。とにかく嬉しかったのを覚えています。
手術直後は、ないはずの左膝がかゆい気がしたことも…
――失ったはずの足が痛くなったり痒くなったりする「幻肢痛」はありましたか。
柊子 手術直後は、何度かないはずの左膝がかゆい気がしたことがあって。そんな時は右膝をかいて紛らわしてましたね(笑)。今では幻肢痛もほとんどありません。
――「痛みから解放されるなら」と納得した上での切断でしたが、術後もその気持ちは変わらなかった?
柊子 そうですね。切断する前は、どんなに覚悟をしていても、いざ足を失ったらショックを受けることもあるのかな……と、少し不安でした。でも術後は、自分でもびっくりするくらいポジティブな感情しかなかったです。