「筋力がないとうまく歩けないんです」義足をつけて歩けるようになるまでの“苦労”

――現在は義足をつけていますが、切断後、いつから義足をつけ始めたのでしょうか。

柊子 義足自体の作成は、切断の手術とほぼ同時に始めたんですよ。切断して、足の腫れが引いたらすぐに型をとりました。ただ、義足をつけ始めたのは数ヶ月経ってからでしたね。

 義足をつけても、筋力がないとうまく歩けないんです。まずは筋力をつけるリハビリを始めたのですが、数年間の車椅子生活で足腰が弱っていたから、かなり大変でしたね……。義足でも自然に歩けるようになったのは、手術をしてから半年くらい後のことでした。

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――半年とは、かなりリハビリを頑張ったのではないでしょうか。

柊子 リハビリの先生から、「今は大変だけど、頑張れば半年くらいで自由に歩けるようになるよ」と言われていたんです。

 また、ちょうど半年後くらいに、大好きな[Alexandros]のライブがあって。リハビリを頑張って、自分の足でライブに行くことを目標にしていました。念願のライブに行けたときは、本当に嬉しかったし、楽しかった。改めて、義足にしてよかったと思いました。

「私の足、かっこいいでしょ」周りの目がまったく気にならないワケ

――ほかに、義足にしてできるようになったことはありますか?

柊子 義足にしてから、近所のカフェでアルバイトを始めました。高校生の頃、カフェでのバイトに憧れて「私もやってみたいな」と思っていたのですが、痛みでそれどころではありませんでしたから。

 あとは、義足にしたからモデルにも挑戦できましたね。

――一方で、義足で歩いていると、周囲の注目を浴びてしまうこともあるかと思います。義足をつけ始めた頃、周りの目が気になることはありましたか?

柊子 それが、最初からまったく気にならなくて。そもそも私は、義足のモデルのGIMICOさんを見て、「義足ってかっこいいじゃん!」と感じて足の切断を決意しました。だから、義足をじろじろ見られても、「私の足、かっこいいでしょ」と思えるというか。

 

 そういえば、左足を切断した直後、まだ義足もつけていない頃、車椅子で院内のコンビニに行こうとしたことがあって。その姿を見た母から、「足元をブランケットで隠さなくていいの?」と聞かれたんです。

 そのときに、「たしかに、切断した足を見られたくない人もいるよね」とハッとして。周りからそう言われないと気づかないくらい、私自身は片足がないことも、義足をつけていることも、ネガティブに捉えたことはないんです。