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「Winny事件」さえなければ今の日本は変わっていた 42歳で急逝した天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇

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genre : ニュース, テクノロジー, 社会

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著作権法関連の法律改正は不可欠

このように、多くの巨大企業が平成になってから誕生したIT・通信業界において、日本ではアメリカや中国のようにスーパースターが生まれなかった。

Winny事件によって、国全体がIT革命の波に乗り遅れたことが原因といえる。

そして、IT革命に乗り遅れた根本的な原因の一つが、Winny事件の裁判により7年半もの間、新たなP2P関連の技術開発が止まってしまったことであるのは明白である。

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金子氏の身に起こった悲劇を、そして、それにより日本の産業および経済に起こった悲劇を繰り返さないためにも、著作権法関連の法律改正は不可欠である。日本のテクノロジー産業の発展にとっては時すでに遅しとなった感はあるが、それでも新たな技術革新はこれからも止まることなく行われていくことを考えると、取り組んでいく意義は大きいといえるだろう。

城所 岩生(きどころ・いわお)
米国弁護士
国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)客員教授、米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.) 1941年生まれ。東京大学法学部卒業、ニューヨーク大学修士号取得(経営学・法学)。NTTアメリカ上席副社長、成蹊大学法学部教授を経て、2009年より現職。著書に『国破れて著作権法あり 誰がWinnyと日本の未来を葬ったのか』(みらい新書)、『音楽を取りもどせ! コミック版ユーザー vs JASRAC』(みらいパブリッシング)、『音楽はどこへ消えたか? 2019改正著作権法で見えたJASRACと音楽教室問題』(みらいパブリッシング)、『JASRACと著作権、これでいいのか 強硬路線に100万人が異議』(ポエムピース)、『フェアユースは経済を救う』(インプレスR&D)、『著作権法がソーシャルメディアを殺す』(PHP新書)、『米国通信改革法解説』(木鐸社)、『米国通信戦争―新通信法で変わる構図』(日刊工業新聞社)など。
「Winny事件」さえなければ今の日本は変わっていた 42歳で急逝した天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇

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