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「Winny事件」さえなければ今の日本は変わっていた 42歳で急逝した天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇

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Winny開発者を収監した「著作権法違反幇助」という罪

かつて日本経済は世界で燦然と輝いていた。平成元年(1989年)には世界の企業時価総額ランキングの上位10社に日本企業が7社も入っていた。しかし、それから34年がたった今年の2月時点で、日本企業は上位10社どころか上位50社にさえ1社も入っていない。そうなった要因はさまざまあるが、あれさえなければ、日本は今ごろ世界中からお金が集まっていた可能性もある出来事がある。それが「Winny事件」である。

今年3月、映画『Winny』が全国で公開された。この作品は、今から19年前の2004年、P2P技術を利用したファイル共有交換ソフト「Winny」を開発した東京大学大学院特任教授(当時)の金子勇氏が、著作権法違反幇助の疑いにより京都府警に逮捕、起訴された事件を題材にしたものである。

ご記憶の方も多いかと思うが、改めてこの事件をおさらいしておく。このWinnyが利用しているP2P技術は「Peer-to-Peer」技術の略称で、不特定多数の端末同士がインターネットを通じてデータファイルを直接やり取りできる通信技術である。

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金子氏はWinnyを2001年に開発し、匿名掲示板サイト「2ちゃんねる」で公開したのだが、その翌年、Winnyを利用して他人の著作物をネット上にアップにした男性2人が、著作権法違反の容疑で京都府警ハイテク犯罪対策室に逮捕された。そして2004年に、Winnyの公開、提供行為がこの2人による犯行の幇助に該当するとして、金子氏自身も逮捕、起訴されたのである。

京都地方裁判所庁舎。有罪判決を下した京都地裁、京都簡裁、京都検察審査会がある。(写真=J o/CC-BY-SA-2.5/Wikimedia Commons)

包丁を使った犯罪は包丁を作った人のせいなのか?

検察は裁判において、金子氏が「ソフト開発と配布によって、著作物を違法に流通した2人の正犯の犯罪行為を幇助した」として、金子氏の有罪を主張した。

しかし、包丁が犯罪に使われても、罪に問われるのは包丁を作った者ではなく使った者であるのと同様、Winnyにおいても、罪に問われるのはWinnyを使って他人の著作物をネット上にアップにした2人であって、Winnyを開発、配布した金子氏ではないのは明らかである。

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