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「Winny事件」さえなければ今の日本は変わっていた 42歳で急逝した天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇

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genre : ニュース, テクノロジー, 社会

アメリカでは「ナップスター社」が操業停止に

また、Winnyより数年前の話になるが、アメリカの大学生がP2P技術を使った音楽ファイル共有ソフト「Napster(ナップスター)」を開発し、仲間と共にナップスター社を設立した。

ユーザー数はまたたく間に数千万人に達したが、全米レコード協会などから著作権侵害で訴えられて民事裁判で敗訴している。ただ、金子氏のように刑事事件で逮捕、起訴されたわけではない。

結局、ナップスター社は操業停止に追い込まれたが、同様に音楽配信サービスの将来性を見抜いたアップル社のスティーブ・ジョブズ氏は、2003年に音楽配信サービス「iTunesストア」を立ち上げた。その後の発展ぶりはここで述べるまでもないだろう。

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いずれにしても、事業化に成功したのはジョブズ氏だが、音楽配信を大きなビジネスに変えるきっかけを作ったのは、Winnyと同じP2P技術を使うNapsterを開発した大学生だったのだ。

なぜWinnyはNGで、YouTubeはOKなのか

また、P2P技術ではないが、動画配信システム「YouTube」も、ファイルを不特定多数の人と共有できるという点ではWinnyと同じである。

つまり、日本の警察が金子氏を強引に逮捕・起訴し、裁判をしている間に、コンテンツ配信の世界はアメリカのiTunesやYouTubeに席捲されてしまったのだ。そしてiTunesもYouTubeも、日本だけでなく全世界から莫大な収入を稼いでいる。

ちなみに、YouTubeが世界を席捲する援軍となったのが、アメリカで1998年に制定されたデジタル・ミレニアム著作権法だ。これにより検索エンジンや動画サービスなどのサービス・プロバイダーは、法律に定める要件を満たしていれば著作権侵害の責任を負う必要がなくなったのである。

無罪確定の1年後、42歳の若さで急逝した

金子氏は最高裁で無罪が確定したのち、プログラム開発などでその後の活躍が期待されたものの、1年後に42歳の若さで急逝してしまった。再び研究者として過ごすことができたのはわずか半年間だけだった。