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連載この鉄道がすごい

東武鉄道の切り札、日光行きに登場した特急「スペーシアX」の“本当のライバル”とは

新型車両形式N100系で“総力戦”に挑む

2023/07/16

genre : ライフ,

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1号車は日本最古のホテルをモチーフに、2号車はグリーン車より広いシート間隔が魅力

 日光行き先頭車となる1号車は、コックピットラウンジというソファ席だ。こちらは2人掛け向かい合わせ席が3組、1人掛け向かい合わせ席が3組、1人掛け運転席展望席が2つある。つまり定員20名。

 定員が少ない理由は、ゆったりとした座席配置だけではなく、ビール、珈琲、おつまみ、スイーツを提供するカフェカウンター「GOEN CAFE SPACIA X」があるからだ。この車両自体が現存する日本最古のリゾートホテル「日光金谷ホテル」や大使館別荘をモチーフにしているという。

1号車はコックピットラウンジ。開放的な空間だ

 2号車はプレミアムシート。1列につき2席+1席だ。JR西日本、JR四国、JR九州の特急列車や近鉄特急の上級座席と同じ配置。そして上質な大型座席は近鉄の「プレミアムシート」、JR東日本の新幹線「グランクラス」、サフィール踊り子の「プレミアムグリーン車」などと同じバックシェル型で、リクライニングしても後席に影響がない。電源コンセントは肘掛けに、ヘッドレストの横に読書灯がある。シート間隔は1200mmで、東海道新幹線N700Sのグリーン車より広い。

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プレミアムシート。1人席はひとり旅に嬉しい

パーティションに囲まれた席で作業も楽々

 3号車、4号車、5号車はスタンダードシートだ。1列につき2席+2席。回転リクライニングシート、電源コンセントは背もたれの裏側にある。背もたれ背面のテーブルが大きく、ノートパソコンで作業するときに便利だ。東武特急は東京都~栃木県のビジネス需要も担うから「普通の座席」も重要だ。シート間隔は先代スペーシアと同じ1100mm。これも東海道新幹線N700Sの普通車より広い。

スタンダードシート。大型テーブルがビジネスパーソンには嬉しい。シートピッチが広くゆったりとくつろげる

 5号車の日光寄りにボックスシートがある。パーティションに囲まれた1人掛け席が向かい合わせで2組。1人掛けと言っても、スタンダードシート2座席分の空間がある。パーティションのおかげでノートパソコンや資料を広げて作業しやすい。ただし、座席はパーティションの幅とサイドテーブルのぶんだけ狭い。体格が良い人がゆったり座れるし、大人と幼児が並んで座れる。座面は少し堅めで、沈み込まないタイプだ。

ボックスシートは少し堅めの座席。お子さまが立ち上がってもふらつかない(東武鉄道提供)