東武鉄道は7月15日から新型特急列車「スペーシアX」を運行する。外観の特徴は真っ白な車体と先頭車前面の絞り込まれた流線型、先頭車側面の六角形の窓。白い車体は純白と言うより、少し青みがかっている。陶器の青白磁のようだと思ったけれど、この色のモチーフは日光東照宮の陽明門の柱や龍馬の彫刻に使われた白だという。

 先頭車の形状は先代スペーシアよりスマートだ。白いフレームにブラックマスクで、先代スペーシアより洗練された印象だ。運転席フロントガラスを大きく取り、客室からの眺望を確保した。私の第一印象は、JR東日本の「サフィール踊り子」に似ている、だった。しかし側面窓は独特の六角形を採用した。この形は栃木県鹿沼市の伝統工芸品「鹿沼組子」がモチーフとなっている。

東武鉄道の新型特急列車「スペーシアX」。先頭車の窓は「鹿沼組子」の六角形だが「X」を組み合わせたように見える
車体の白は日光東照宮の陽明門のイメージ(杉山淳一撮影)

用途、グレードの異なる6種類の座席がある

 車内の特長は座席の種類の多さだ。関東大手私鉄の有料特急のほとんどがモノクラス編成だ。しかしスペーシアXは6種類もある。現行「スペーシア」は、スタンダードシートのほかに4人用コンパートメントルーム(個室)を備えた2クラスだったから、新型は4種類も増えた。すべてスペシャル感のある座席で、そのぶん特別料金が加算される。

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 浅草行き先頭車となる6号車は個室のみで、部屋単位の販売となる。定員7人のコックピットスイートはシートやテーブルが固定されていない。グループ旅行の目的に合わせてレイアウトを変更できる。もちろん走行中にズレないように重くしてある。定員4人のコンパートメントは先代スペーシアの個室を継承する。ファミリー、グループ向けはもちろんのこと、知り合いに相席を見られたくない事情がある人々も……。おっと、これは飲み屋のお姉さんから聞いた体験談。こんな話、文春オンラインに書いて良かったのかな(笑)。

6号車のコックピットスイート。モデルは女優で旅ライターで筆者の友人の谷口礼子さん。今日は雑誌「旅と鉄道」の取材とのこと。取材時間が限られていたので撮影を便乗させていただいた。谷口さんは2023年8月23日(水)から8月27日(日)まで、恵比寿エコー劇場で『引き結び~紬ぎ結ぶは約束の糸~』に出演するそうだ
6号車のコンパートメントは定員4名。落ち着いた空間を演出している(東武鉄道提供)