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「酒粕のバターサンド」を試食

「酒粕と米粉のクラッカービスケット」「酒粕のバターサンド」「酒粕のジェラート」を手がけた伊澤いちご園の社長、伊澤敦彦さんによると、新しい特急列車でオリジナル商品を提供したいという話は約1年半前にあったという。

 東武鉄道は2021年11月11日に「2023年に特急スペーシアの新型車両を導入します」と発表している。車両の完成イメージも発表しているから、サービス内容の検討もこの頃から始まっていたようだ。

「ビールサーバーを入れるので、車内でカフェをやりたい。そのための限定商品をつくりたいと。東武さんの地域の町おこしというか、気概というか、沿線を活性化させたいという気持ちが伝わってきました。

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 お客さんがスペーシアXを下車しても楽しめるように、そこの駅にはこういうコンテンツがあるよっていう情報を、東武鉄道の偉い方々が自ら降りて、色々散策していらっしゃる。そこに私たちも惚れ込んで、色々一緒にやらせていただきました」(伊澤氏)

「酒粕のバターサンド」を試食させていただいた。アイスデザートとして冷凍状態で販売するけれども、時間が経つにつれてバタークリームの温度が上がり、バターの風味が深く、酒粕の香りが立ち上がる。2つ買って時間差で食べたくなる。バターに練り込んだ酒粕は日光の片山酒造から提供されている。

 他のメニューも日光や栃木県の飲食店やメーカーが参加し、コラボ商品もある。日光市に工場をもつヨックモックも限定パッケージを用意する。「作り手の顔が見える商品を提供し、お店に行ってみようという、旅の目的を提供したい」(東武鉄道)という。

酒粕のバターサンド(東武鉄道提供)

個室のある6号車が「GOEN CAFE SPACIA X」から離れている理由

「GOEN CAFE SPACIA X」は1号車専用というわけではなく、すべての座席の乗客が利用できる。1号車の乗客は少し優遇されていて、いつでも注文できる。2号車から6号車の乗客はオンラインで整理券を取得する必要がある。車内を歩いてきて品切れだとガッカリするから、予約制は親切といえる。

 なお、車内ではワゴン販売を行わない。その理由は2つある。1つは、近年の利用者の傾向として、乗車前に飲食物を購入する客が多いから。これは東武鉄道に限らないことだ。東武浅草駅は駅弁を販売しており、それを楽しみにする人も多い。グループ客は駅ビルのデパート「松屋浅草店」で飲食物を調達する傾向があるという。なるほど、個室のある6号車が「GOEN CAFE SPACIA X」から離れていることにも理由があるわけだ。