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我々カープファンは“ジャンボ”末包昇大からどうして目が離せないのか

文春野球コラム ペナントレース2023

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 今シーズン9月23日の東京ドーム。レフトスタンドに、2打席連続のホームランが突き刺さった。打ったバッターは末包昇大。今カープで最も痺れるホームランを見せてくれる選手だ。

 末包選手のホームランの痺れ具合は、カープファンの誰もが痛切に感じていることだろう。最近では8月27日のマツダでの満塁ホームラン、8月29日ジャイアンツ戦での逆転ホームランなどが記憶に新しい。今季は10年ぶりの新人2年目での二桁ホームランを成し遂げた。

 188センチ113キロというどでかい体。気持ちのいい笑顔。何かしてくれるのではないかと思わせる雰囲気。今我々はシーズン終了を前に、完全に末包選手の虜になっている。今日はそんな末包選手の魅力をぜひ他球団の人にも知っていただきたく、ここにいくつか紹介していこうと思う。

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末包昇大 ©時事通信社

イジられ生態系の頂点に立っていると言っても過言ではない

魅力1「大きい」

 ニックネームは「ジャンボ」。野球界であのジャンボ尾崎以来の「ジャンボ」ネームを授かった末包選手である。とにかく大きく分厚いのだ。

 小学校1年生の時点で靴のサイズが25センチを超えてしまい、学校指定の上履きが入らなかったというほどのエリートジャンボ。今でもその体を大きくするべく大量のおにぎりを頬張る姿が球団のSNSにも上がっている。現在プロ野球選手の中で一番お米が似合う選手かもしれない。

魅力2「乗り越える力」

 末包選手のこれまでは決して順風満帆ではなかった。母校高松商業でも怪我に泣かされ、得意の長打も3年でようやく華開き始めた。(余談だが末包選手が3年でようやく超えたフェンスを巨人の浅野選手は1年生で超えたのだとか)

 進学した東洋大学では控え。現在阪神で活躍している村上頌樹投手と同部屋で非常に仲が良かったそうだ。その後所属した大阪ガスでも何度も試行錯誤した。モノマネが得意な末包選手は貪欲に名バッターを模倣した。トラウト、ジャッジ、スタントン……。コツコツと努力を積み重ね長打力に磨きをかけ社会人3年目にして鈴木誠也選手のフォームを参考にすることで一つ上の段階へ上がり、カープへ入団となったのだ。

魅力3「あのレジェンドに酷似」

 大きな体、周りからも愛されイジられる人柄。そしてドラフト6位での入団。これはもうそのまま新井監督だ。

 去年のキャンプだったか。私が見た特守で末包選手は何度もノックを受け大きな声を出しその度にチームが非常に盛り上がっていたのを覚えている。特守中にダイビングしたはずみでベルトが切れてしまったこともあった。そんな場面も絵になる男なのである。

 先日新井監督が「末包選手がもう(バッティングのコツを)つかんだと言っていました」と末包選手へコメントしていたが、あの新井さんからイジられるというのは、イジられ生態系の頂点に立っていると言っても過言ではない。今や皆がどうしても微笑ましく注目してしまう存在なのだ。

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