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ミャンマー人男性から「なぜ日本人はおっぱいに興味を抱くんだ?」と…“性的魅力の文化”が日本と発展途上国で決定的に違うワケ

『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』より #2

2023/09/22

genre : ライフ, 社会

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日本は、子供がいては生きていけない社会になりつつある?

 生活に窮している若い日本人は、結婚や出産を経済的デメリットと考え、消極的になりやすい。一体、親にとって子育ての負担とはどれほどのものになるのだろう。

 教育費だけ見ても、その額は決して少なくない。文部科学省によれば、大学卒業までにかかる平均額はすべて国公立の場合で約1022万円、すべて私立の場合で約2651万円になるとされている。具体的に見れば図表13のようになり、ほとんどの場合は1000万円をはるかに上回る額になる。

(『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』より抜粋)

 相対的貧困層の人々はもちろん、彼らの倍以上の収入がある年収500万円くらいの家庭であっても、それだけの額を捻出することは簡単ではない。このことを示すのが、「子どもの成長段階と家計の貯蓄率」だ。

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 図表14を見てほしい。子供が小さいうちは貯蓄率はプラスだが、子供が高校へ進学したあたりからマイナスへと転じていく。そして、最終的には子供1人世帯でマイナス9%ぐらいにまで下がる。

(『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』より抜粋)

 注意してほしいのが、これは日本全国の平均値であることだ。図表14では貯蓄率は子供が2歳以下の場合で平均プラス13~14%ぐらいになっているものの、低所得層の人たちは初めからこれがゼロに近く、さらに給料が上がる見込みが薄い。そうなると、子供ができた時点で貯蓄率がマイナス、つまり生活が成り立たなくなりかねない。

写真はイメージです ©iStock.com

日本で行われる中絶のうち、5回に1回は経済的な理由

 こうした状況が引き起こすのが、人工妊娠中絶だ。途上国と比べて中絶件数は多く、現在の日本では年間に約14.5万件の中絶手術が行われており、経験したことがあるのは全女性のうちの14.7%だ。つまり7人に1人は何かしらの理由で中絶をしたことがあるのだ。

 次は、中絶の理由の1位から3位である。

 1位 相手と結婚していないので産めない(30.2%)

 2位 経済的な余裕がない(19.5%)

 3位 相手との将来を描けない(9.4%)

 日本で行われる中絶のうち、5回に1回は経済的な理由ということになる。ただし、1位と3位の背景にも経済的な理由が潜んでいることもあると推測されるため、中絶に及ぼす経済問題はアンケート以上に大きいだろう。

 ちなみに、私自身は中絶に何が何でも反対というわけではない。ただし、少子化の進んだ日本で多くの中絶手術が経済的理由で行われているのならば、何かしらの対策は必要だろう。国の努力が足りないことによって、生まれてくるはずの命が絶たれることは避けなければならない。

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