世界第3位のGDPを誇る日本。しかし実際には、「先進国中ワースト4位の貧困国」と言われている。日本の貧困は、いわゆる途上国の貧困とされる「絶対的貧困」とはまったく形態が異なる「相対的貧困」。いったい、絶対的貧困と相対的貧困には、どのような違いがあるのだろうか?

 ここでは、途上国の絶対的貧困と、日本の相対的貧困を比較しながら、現代社会における「本当の貧しさとは何か」を綴った、ノンフィクション作家・石井光太氏の著書『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』(PHP文庫)より一部を抜粋。発展途上国と日本における性的魅力の文化差や、出産・子育てに対する考え方の違いとは?(全2回の2回目/1回目から続く)

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発展途上国と日本における、性的魅力の文化差

 日本人の男性は女性の肉体のどこに性的な魅力を感じるかというアンケートがあった。結果は、1位が胸、2位が胴体、3位がお尻だったそうだ。

 変なことを言っているように思われるかもしれないが、先進国と途上国とでは、男性が感じる女性の肉体的な魅力に違いが現れることを知っているだろうか。

 15年ほど前、ミャンマーの商業都市ヤンゴンで靴磨きをしている男性と知り合った。彼は外国人観光客がよく訪れる市場のカフェに出入りし、靴磨きをして稼いでいた。英語が堪能だったので、あれこれしゃべっていたところ、こんなことを尋ねられた。

「前に日本人から色っぽい女性がたくさん載っている雑誌をもらったんだ。そしたら、女性のおっぱいばかりを強調する写真がたくさんあった。なんで日本人はおっぱいにばかり興味を抱くんだ?」

 たしかに週刊誌のグラビアなどでは女性のバストが強調されることはあるが、それまで特に疑問を感じたことはなかった。そのことを伝えると、彼はこう言った。

「ミャンマーの男性は女性のお尻が好きなんだよ。ちゃんと安全に赤ちゃんを産むことのできる女性がモテるんだ。その代わり、おっぱいにはあんまり興味がないかな。おっぱいが大きくたって、出産には役に立たないからね」

 私はそれを聞いて、貧しい人たちが置かれている現実を垣間見たような気がした。

 途上国では、妊産婦が出産時に死亡する率は非常に高い。出産の直前まで病院にかかっていなかったり、伝統産婆の力を借りて自宅出産をしていたりするため、大量出血などのトラブルが起きた時に対応しきれないのだ。