世界第3位のGDPを誇る日本。しかし実際には、「先進国中ワースト4位の貧困国」と言われている。日本の貧困は、いわゆる途上国の貧困とされる「絶対的貧困」とはまったく形態が異なる「相対的貧困」。いったい、絶対的貧困と相対的貧困には、どのような違いがあるのだろうか?

 ここでは、途上国の絶対的貧困と、日本の相対的貧困を比較しながら、現代社会における「本当の貧しさとは何か」を綴った、ノンフィクション作家・石井光太氏の著書『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』(PHP文庫)より一部を抜粋。発展途上国と日本、それぞれの国の人々は、“結婚”をどのように捉えているのだろうか。(全2回の1回目/2回目に続く)

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発展途上国のスラムの早婚

 人は何歳ぐらいで結婚をして家庭を持つのだろう。

 世界全体で見れば、先進国より途上国の方が初婚の平均年齢は若い。日本では男性31.1歳、女性29.7歳に対して、インドネシアでは男性25.7歳、女性22.3歳。ペルーでは、男性24.5歳、女性22.5歳となっている。

 これは国内の富裕層と貧困層においても同じことが当てはまる。ウガンダでは一般的な家庭の人々の10代の婚姻率は5%にすぎないが、スラムでは7倍の34%にまで膨れ上がる。バングラデシュのスラムに至っては18歳以下の婚姻率は約8割、しかも15歳以下が約4割に達するというから驚きだ。

 一般的に、貧しければ貧しいほど早婚の傾向があるといえる。理由としては、貧しい人ほど教育を受けていないとか、他に娯楽がないとか、寿命が短いなどといった様々なことが挙げられる。ただ、国、地域、民族によってもかなり傾向が異なるので、今回はスラムのコミュニティー内での婚姻に話を絞って考えてみたい。

子供の多さ=生活の安定

 スラムで暮らす人々はコミュニティーに身を置いて生きている。そんな彼らはなぜ若くして結婚をするのか。次の2つの理由が挙げられる。

 ・家族内の相互扶助システムを強化するため。

 ・コミュニティー全体の結束を高めるため。

 スラムには大家族としてのコミュニティーがあるとはいえ、もっとも信頼できるのは血のつながった家族だ。誰かが困った時は、まず家族が手を差し伸べ、それでもダメなら親戚、次に隣人たちが助ける。