結婚による階層の逆転
それに近年の男女の出会いは、リアルの関係からマッチングアプリへと移行している。2022年の結婚のきっかけとなった出会いのナンバーワンはマッチングアプリだ。他にも、SNSやゲームを通した出会いもある。これは、空間を超えて多様な階層の人たちが出会うきっかけが増えていることを示している。
また彼らの教養もさほど違いはない。日本では、低学歴といっても高校や専門学校くらいまでは卒業しているからだ。
こう書くと、エリート意識の高い人たちは「高卒の奴らと一緒にするな」と怒るかもしれない。しかし、そのエリートたちが、高卒の女性が働くキャバクラやクラブにのめり込み、逆に金をたかられている状況を考えれば、学力はともかく、思考や会話のレベルはさほど変わらないはずだ。
総じてみれば、日本では富裕層と貧困層の距離が近く、出会いの機会は少なくないといえる。それが何をもたらすのか。端的にいえば、結婚による階層の逆転だ。貧困層の人が富裕層の人と結婚することによって、経済的な富を手にすることができるのである。
何を目的として結婚をするかは、人それぞれ
私の知り合いにも何人かそれを実現した女性がいる。そのうちの1人は、高校卒業後にアルバイトを転々として、余裕のない生活をしていた。収入は手取りで13、4万円程度。アパート代と食費を払えば、あとは遊ぶこともままならないような生活だった。
だが、20代の半ばにアルバイト先で一流金融機関の男性と知り合い、半年後に妊娠が発覚して結婚。これで生活が一変した。彼女はお金に困らない暮らしをし、免許も取って高級車に乗り、30歳を過ぎた今は2児の母として、都内のタワーマンションに暮らしている。
何を目的として結婚をするかは、人それぞれだ。ただ、混在型都市の日本では、途上国と比較すれば、こうした格差婚と呼ばれる結婚が多く行われているということは断言できるだろう。