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「ジャニーさんにスッとブリーフを脱がされ…」当時は中学3年生、元ジャニーズJr.が回顧する「おぞましい夜の記憶」

『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』#3

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 芸能, テレビ・ラジオ, 音楽

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「プール」で起きた事件

 マンションの部屋は34階だから、窓から代々木公園や渋谷の街が見える。ジャニーさんは渋谷のNHKの近くにも、商業ビルの最上階にプール付きのマンションを持っていた。公園通りに面していて、隣にはファミレスがあった。「マンション」と区別する意味でも、ジュニアの間で「プール」と呼ばれていたその部屋も、お気に入りのメンバーはカードキーをもらえた。勝手に行ってカードキーでピッと鍵を解除して、プールで遊ぶことができるのだ。

 青山のマンションのリビングには望遠鏡が置いてあって、500メートルくらい先にある渋谷の部屋のプールを覗けるようになっていた。時々、ジャニーさんは望遠鏡を覗きながら、「今日は誰と誰が来ている」とぶつぶつ呟いていた。そしてジュニアたちがプールで騒いでいる様子を見ては、「あぁーっ! もう暴れてる」と怒ることもあった。そんなときは望遠鏡を覗きながら、電話をかける。

「ユーたち、プールに入ってるでしょ。ダメだよ。今日はプール入っちゃダメだよ」

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 ある日、渋谷のプールにあったテレビが壊れていた。理由を聞いたところ、少し前に事件があったようだった。犯人は、ジャニーさんの留守中に家具を盗み出していたバカなジュニア。彼がテレビを盗もうとしてコードを抜いて抱えたところへ、急にジャニーさんが帰って来た。そいつはそうすればバレないとでも思ったのか、ドアが開いた瞬間、テレビごとプールの中へ飛び込んだのだという。誰だかわからないが、めっちゃバカだと思う。

※写真はイメージです ©iStock.com

 こんな事件もあった。ジャニーさんのいないときに、女の子を連れ込んだジュニアがいて、騒ぎすぎたために苦情が入ったのだ。それがあったから、急にプールには行けなくなった。僕もプールには1、2回しか行けていない。

 自分の印象では、自宅マンションに入れるのはジャニーさんにとって「一軍」で、プールの方は「二軍」。家には来なくていいけれど、まぁ一応、プールぐらいは来てもいいよという感じだった。だからまだまだヤンチャなジュニアも多く、事件も起こりやすかったのだろう。

初めて会った日の不穏な空気

 正直、ジャニーズ事務所に入るまで、ジャニーさんがジュニアを襲うという話は聞いたことがなかった。

 でも、ジャニーさんに初めて会って家に泊まった日に、すでに不穏な空気は感じていた。