文春オンライン

「ジャニーさんにスッとブリーフを脱がされ…」当時は中学3年生、元ジャニーズJr.が回顧する「おぞましい夜の記憶」

『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』#3

source : ノンフィクション出版

genre : ニュース, 社会, 芸能, テレビ・ラジオ, 音楽

note

ターゲットを決めた「合図」

 するとジャニーさんがこちらに近付いてきて、僕の肩をマッサージしながら、こう言った。

「ユーたち早く寝なよ。カウアン、早く寝なよ」

 外国人的な名前は覚えやすいのか、ジャニーズJr.になってまだ1カ月くらいしか経っていなかったのに、「カウアン」という名前はすでに覚えられていた。

ADVERTISEMENT

 思えばそれが、ターゲットを決めたという合図だったんだろう。

 ほかのジュニアもそれで「今日はカウアンか」と気づいたと思う。

 その日はジャニーさんの部屋から近い部屋で寝ることになった。ジャニーさんから「寝なよ」と言われたときは、ジャニーさんの寝室か近くの部屋に寝ないと、翌日すごく機嫌が悪くなると聞いたからだ。部屋にはベッドが3つもあって、ほかのジュニアもそこに寝ていた。

深夜に感じた、ジャニー氏の気配

 ジャニーさんは深夜に目を覚ますと、家の中を歩き回る。カーテンを閉めたり、つけっぱなしになっている電気やテレビを消したり、ジュニアに布団をかけたり。ジュニアが遅くまで騒いでいないか、見回りをするのだ。その音がすると、「ああ、片付けが始まったなぁ」とわかる。同時にそれは、ジャニーさんが部屋に入ってくるまでの長い長い待ち時間でもあった。

 サッサッサッサッ。サッサッサッサッ。

 皆がすっかり寝静まった頃だ。廊下にスリッパの足音が響く。ジャニーさんは家でスリッパを履いているので、誰が歩いているのかがわかる。その足音が、僕の寝ている部屋の前で止まる。

 まさか、今日?

※写真はイメージです ©iStock.com

 寝付けずにまだ起きていた僕はそう思った。胸が張り裂けそうなぐらい心拍数が上がっていくのがわかる。間もなくドアが開き、廊下の光が部屋の中に入り込んでくる。ジャニーさんは見回りでカーテンを閉める際に、僕らがどこに寝ているのかを見分けていたのだと思う。薄明かりの中で、まっすぐに僕の寝ているところへと歩いてきた。スリッパの音が止まる。

 下の方からベッドに入ってきて、布団を引きはがされた。そして僕の腰のあたりでジャニーさんが横になった。着ている浴衣の下半身をすぐにはだけさせられる。しわの多い手が直接身体に触れ、足のマッサージが始まった。

 うわ、マジだ。

 これ、ヤバくね!?

 でも、もしかしたらマッサージだけで終わるかもしれない……。

 そんな淡い期待はすぐに打ち砕かれた。