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"万年助手"として77歳まで東大に居座る…やりたいことしかやらない牧野富太郎の究極の「ズボラ力」

source : 提携メディア

genre : ライフ, 歴史, 働き方, ライフスタイル, テレビ・ラジオ

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牧野はその辺のことを十分に自覚しており、「(石井)君がよく私の癖を吞み込んで、うまく其間を操縦調節したから」この全集をまとめることができたと感謝している。さらに牧野は自分のズボラな性格について、次のように弁明している。

私のズボラは質の悪いズボラではない、一方でズボラと見える時は必ず一方で精励して持ち前の凝り性を発揮して居る時である。丁度、天秤の様なもので、一方の下がった時は必ず一方が上がって居る。其の真相を洞見する明がなく、無闇に私をズボラな人間とけなしつけるのは、其の一斑を見て全貌を知らざる皮相の観察である。(『植物集説』下巻)

俵 浩三(たわら・ひろみ)
1930年東京都生まれ。千葉大学園芸学部卒業、北海道大学学術博士。景観学者、林学者。厚生省国立公園部(1953年、国立公園レンジャー日本第1号)、北海道林務部、北海道生活環境部に勤務したのち、北海道自然保護協会理事(1994~2004年、会長)、専修大学北海道短期大学教授(2001年~名誉教授)等を務めた。1980年に国立公園協会田村賞、1990年に日本造園学会賞(研究論文部門)、2002年に日本造園学会上原敬二賞を受賞。2020年没。
"万年助手"として77歳まで東大に居座る…やりたいことしかやらない牧野富太郎の究極の「ズボラ力」

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