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「頭のカタい上司を説得するより自分ひとりで始めたほうが楽…」27歳で脱サラして映画配給会社を立ち上げた女性の“意外な野望”〈ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞〉

粉川なつみ インタビュー #2

2023/11/29

genre : ライフ, 社会

note

「今のところ興行収入が目標値に届いていないので…」

——無事に公開され、粉川さんとしてはやっと落ち着いたという状況ですか?

粉川 いや、まだまだですね。

 完成披露試写会のときに満席だったために期待値が上がりすぎてしまい「次はどういった事業を展開しようかな」「資金調達をしてもっと大きいことをやってみたいな」といろいろ妄想していたのですが、今のところ興行収入が自分の中での目標値に届いていないので、ここからどうやったら観てくださる方が増えるのか、といったことばかり考えています。1日の興行収入の結果が毎朝9時半に届くんですが、そのたびに一喜一憂……。今はとにかく興行収入額を目標値にどれだけ近づけられるかが課題ですね。

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粉川なつみさん ©文藝春秋

 ただ、友人の子どもがハマって「もう1回観てくる」と言ってくれたり、お金とは別の充実感もあります。もともと子どもに観てほしいと思っていたので、ストーリーやキャラクターを好きになってくれたり、絵を描いてくれたりしている子どもがいると、やっぱりうれしいですね。

——クラウドファンディングを始めたころはつらくて泣くこともあったとおっしゃっていましたが、今はそういったことはないですか?

粉川 思い通りにいっていないぶん、つらい気持ちはありますが、「目の前のことをやらなきゃ!」という状況なので、泣いている暇はないですね。まだ上映は続いていますし、11月17日公開の『メカバース:少年とロボット(以下、メカバース)』という映画の配給と宣伝も担当しているので、まだまだ落ち着けません。

『ストールンプリンセス』を製作した「アニマグラッド」の新作もあるので、それも日本で上映したいですしね。いま、ウクライナでは侵攻の影響で国の半分くらいの劇場が閉まっているらしいんですが、そんななか国民の方々に喜んでほしいという思いで2023年3月に上映開始されたそうで、彼らの熱意をまた引き継ぎたいと思っています。

——今後は会社として、どういった活動、事業を行っていく予定でしょうか?

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