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「あまりに幸せそうだから別れた前妻も遊びに来る」波瀾万丈なフランス男性が教えてくれる"生き方のヒント"

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル, 国際

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パリでは無かったはずの頭頂部の頭髪が風になびいていた

ドラギニョンで再会したポールさんの頭には、パリでは無かったはずの頭頂部の黒髪が風にふさふさとなびいていた。薄暗い冬のパリのアパルトマンで奥さんに怒られていた時と比べて、ポールさんはずいぶんと若返って見えた。巨大な地中海松の生えた小高い丘の上にあるその家には、定年後に移ってきたのだそうだ。新しい奥さんはポールさんよりおそらく20歳は若い、ショートカットでハツラツとした大柄な人で、我々が到着した時ふたりはプールから水着姿のまま駐車場に現れた。

最初の頃は親戚中で叔父さんを責め、軽蔑すらしていたが、本人がそうした誹謗(ひぼう)などどこ吹く風であまりに幸せそうだから、今では別れた前妻もみんな遊びに来るらしい。「結局どんな経緯があろうと、誰でも幸せな人のところに集まりたがるのよね」と、はしゃぎながら愛犬と一緒にプールの縁から飛び込む叔父さんを目で追うカルメンさんも楽しそうだった。

人生いろいろあっても幸せをプロデュースできている

「今夜はバーベキューだ、花火もやろう!」とプールから上がったポールさんが顔中皺だらけにして笑っている。波瀾万丈を経て長く生きてきた人の満面の笑みには強烈な説得力がある。人生いろいろあっても、なお幸せをプロデュースできているポール叔父さんの濡れた肌が、真夏の地中海の太陽を浴びてキラキラと輝いていた。

ヤマザキ マリ(やまざき・まり)
漫画家・随筆家
東京都出身。17歳でイタリアに留学、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。2010年、古代ローマを舞台にした漫画『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞、世界8カ国語に翻訳され、映画化も。平成27年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。17年、イタリア共和国の星勲章コンメンダトーレ章受章。文筆著書に『ヴィオラ母さん』(文藝春秋)『ムスコ物語』(幻冬舎)など多数。
「あまりに幸せそうだから別れた前妻も遊びに来る」波瀾万丈なフランス男性が教えてくれる"生き方のヒント"

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