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「実はサウナは逆効果」睡眠の質を下げることも…疲労回復の専門家が指摘する「要注意の生活習慣」とは?

疲労回復の専門家・福田英宏さんインタビュー#2

2023/12/22
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福田 「寝だめ」をすれば、体が休まると思われる方もいるかもしれませんが、「寝だめ」はかえって体内リズムを崩すのでやめた方がいいです。睡眠の時間のズレは前後2時間ほど、たとえば、いつも朝7時に起床するなら、休みの日は遅くても朝9時には起きた方がいい。

 寝足りないのなら、昼寝をした方が断然いいです。昨今は、昼寝を「パワーナップ」と言いますが、“昼寝でパワーアップ”です(笑)。ただし、15時以降の昼寝は、夜の睡眠に影響を及ぼすため行わない方が賢明です。

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――昼寝の時間は、どれくらい確保した方がいいのでしょうか?

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福田 うつぶせになって、目をつむる。時間は、 20~30分ほどで十分です。しっかり寝てしまうと、深い睡眠であるノンレム睡眠になってしまうため、起きたときにけだるく感じてしまいます。目をつむって、寝たのか寝ていないのか分からないくらいの浅い睡眠(レム睡眠)の昼寝が理想的です。

 また、お風呂に入るのは寝る1時間半前というお話をしましたが、朝にお風呂に入ると、一度深部体温が上がるわけですから、だんだんと下がってくる……つまり、眠たくなってしまう。むしろ、朝は副交感神経から交感神経に切り替えたいので、42~43℃くらいの熱いシャワーを首回りに当てて、交感神経を刺激した方が効果的です。

「サウナで整う」は逆効果?

――ちなみに、半身浴は……?

福田 お風呂は、浮くことによってリラクゼーション効果や、水圧による血流促進効果が見込めます。ですから、半分になると、その分効果も半減してしまいます。

 お風呂に入らずシャワーだけで済ますことも、個人的には推奨していません。交感神経は、筋肉がキュッと締まっている状態なんですね。副交感神経になると筋肉が弛緩する。緩むということは血流が良くなるわけですから、老廃物などの流れも良くなります。

 夏になるとシャワーで済ませる方が増えると思うのですが、副交感神経が優位になりづらいため、血流が滞る。そのため、肩こりや偏頭痛に悩まされる方が増えるんです。そういった症状をお持ちの方こそ、ぬるめの38℃のお風呂に入ることで血流を良くして、睡眠に備えることが大切です。

――福田さんのお話を聞くと、交感神経と副交感神経をしかるべきタイミングで切り替えることが大切だと分かります。となると気になるのが、サウナの存在です。熱いサウナから、冷たい水風呂につかる……交感神経と副交感神経を行ったり来たりする気がするのですが。