寝たはずなのに、十分に疲れが取れていない――。現代人の多くは、「睡眠」や「休養」に悩まされているのではないか。睡眠改善インストラクターの福田英宏さんは、プロアスリートをはじめとするスポーツ選手に「リカバリー理論」を指導する「疲労回復の専門家」だ。

 睡眠の質を高めるために、“やってはいけないこと”を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む

福田英宏さん ©文藝春秋/撮影:榎本麻美

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――睡眠の質を上げるために「やった方がいい」ことをお伺いしました。逆に、「やらない方がいい」ことを挙げるとしたら何でしょう?

福田 布団に入ってからも、スマートフォンをいじる方が多いと思うのですが、控えた方が賢明です。明るい画面を見ているわけですから、交感神経が優位になることに加え、先ほど説明したメラトニンが減少していくため寝づらくなってしまいます。

――画面を暗くしてもダメですか?

福田 一定の効果はあるかもしれませんが、そもそも布団に入った時点で、スマホを操作する必要ってありますか?(笑)

「布団の中で読書」もNG

――……たしかに。ないですね。

福田 寝るために布団に入ったわけですから、寝た方がいいに決まっていますよね。睡眠的な観点から言えば、寝室にはベッドや布団以外には何もないという環境が一番いい。本や音楽などに触れると、どうしても脳は覚醒してしまいます。普段から見慣れているようなもので、脳が休まるような安心できるものであればいいのですが、新しい情報を入れてしまうと寝れなくなってしまう。

 本を読んだり、スマートフォンを見たりすると、脳が布団の中をソファーのような場所だと認識して、“寝る場所”ではなく“くつろぐ場所”だと思ってしまう。そうすると、脳は「まだ寝る時間じゃないんだ」と思い込んでしまうんですね。

©iStock.com

――「布団に入ったらすぐ寝る」ということを、ルーティンにしないといけないわけですね。

福田 布団に入ってから、寝るまでの目安はだいたい8~10分と言われています。30分以上経っても寝られないという方は、布団で余計なことをしているから、寝られなくなっている可能性が高いです。

 また、スマートフォンを目覚まし時計として使っているため、枕元に置く方も多いですよね。するとついついスマートフォンをいじったり、何らかの通知がきて目がさえてしまうことがある。そのような状況を避けるためにスマートフォンを目覚ましに使わないことも重要だと思います。

「寝だめ」より「昼寝」を

――「寝だめ」はどうでしょう? 休日にたくさん睡眠を取ることで、リカバリーしようと目論む方は多いと思います。