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リカバリーウェアは効果がある?

――福田さんが仰るように、昨今は寝衣も進化していて、着ているだけで睡眠の質が上がるといった商品もあります。本当に効果はあるのでしょうか?

福田 一般医療機器の認定があるものや、大学とともにきちんと研究し、エビデンスがしっかりしているものであれば信用していいと思います。最近では、リカバリーウェアも進化していて、自律神経に作用するものや、血流促進、抗酸化作用があるものなど、多岐に渡ります。

 実際、私も特殊な素材がウェアに練り込んであるTシャツを、某大学の陸上部に営業をしたことがあるのですが、説明すればするほど怪しいものを売りに来た人に思われて(笑)。

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――なんで着るだけでパフォーマンスが上がるんだと(笑)。

福田 ですが、2人の選手が信じて……信じてといういい方も変ですが、実際に着てくれることになりました。着用してトレーニングを続けたところ、「合宿を乗り切れた」と喜んでくれ、今も実業団のチームで着用し続けてくれています。エビデンスのあるものは、プロアスリートであれば当たり前のように着ているので、不安視しなくてもいいかなとは思います。

©文藝春秋

睡眠をとるための生活設計を

――そうした商品は添え木としてはいいと。一方で、根幹である睡眠の質を高めるための生活習慣が大事であると。

福田 大谷翔平選手も、睡眠を取るために日々の生活を設計していると話しています。睡眠負債がもたらす悪影響は、想像以上に大きいです。6時間以下の睡眠を続けると、2晩徹夜した状況と変わりません。

 また、起きてから15時間以上経過すると、飲酒運転と同様の感覚で脳が機能しなくなると言われています。

 働いているのに十分なパフォーマンスを発揮できないのであれば、睡眠の質を高めるために、変えられるところから変えていった方がいい。照明は暖色系にする、お風呂の時間を確保する、布団の中でスマホを見ない、太陽を浴びる……すべて難しいことではないはずです。

 頭では分かっていても、「なかなかできない」と話される方も多いと思いますが、生活環境や習慣を少し変えるだけで、パフォーマンスは格段に上がります。それを、身をもって体験してほしいんですね。

©文藝春秋

 私は、この仕事をして10年以上経ちますが、10年前はリカバリーという言葉も、関連商品の存在もほとんど耳にすることはありませんでした。最近は、ようやく睡眠の質や休養について考える機会が増えてきたと実感しています。

 適当に休養を取るのと、きちんと休養を心がけるのとでは雲泥の差です。できることから始めてみてください。