新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、在宅ワークの影響などから、睡眠リズムが乱れがちな人も多いのではないだろうか。医師、医学博士の西野精治さんが『スタンフォード式 睡眠の質を上げる方法』を説く『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)が再放送される。西野さんの著書『睡眠障害』から、睡眠の質を上げるために欠かせないポイントを特別公開する。

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睡眠と覚醒を司るふたつのシステム

 睡眠と覚醒でわかっていることは、睡眠には周期があるということです。

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 睡眠には2種類あり、ひとつは、脳も体も休息するノンレム睡眠。もうひとつは、体は休息しているけれど脳は活動しているレム睡眠です。そして、ノンレム睡眠は睡眠の深さでさらに、ステージ1、2、3の3段階にわかれます。

 正常な睡眠の場合、ノンレム睡眠のステージ1から2、2から3とどんどん深い睡眠になり、続いてレム睡眠に移行します。ノンレム睡眠からレム睡眠が終わるまでを睡眠周期、または、睡眠サイクルといい、個人差はありますが約70~110分になります。

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 わたしたちは、眠りについてから、ノンレムからレムへの睡眠周期を4~5回繰り返し、7~8時間すると自然に目覚めます。ちなみに、ノンレム睡眠は朝が近づくにつれて浅く短くなり、レム睡眠は長くなります。

 睡眠周期は、常に一定というわけではありません。なぜなら、そのときの健康状態やコンディションで大きく乱れることがあるからです。

 寝つきが悪かったり、夜中に何度も目が覚めたり、睡眠中に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群のような障害のある人などは、最初に深いノンレム睡眠が出て、その後に短いレム睡眠が続くとは限りません。睡眠不足の人は、深いノンレム睡眠が朝方に出るケースもあります。

『睡眠障害』より

 また、太っていたり、血圧が高かったり、血糖値が高かったりする生活習慣病予備軍も、正常な睡眠周期が出にくい傾向があります。