「昼間に活動して、夜は眠る」ための機能とは
ちょっとしたことで乱れやすい睡眠周期ですが、それでもわたしたちは、ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目を覚ます日常を繰り返します。なぜかというと、わたしたちの体には、睡眠と覚醒を規則正しくコントロールする、ホメオスタシス(恒常性)と生体リズムというふたつのシステムが備わっているからです。
ホメオスタシスとは、体を一定の状態に維持するための機能のこと。
わたしたち人間が、いつまでも起き続けていられないのは、ホメオスタシスによるものです。起きている時間が長くなればなるほど疲れや睡眠を引き起こす物質が蓄積され、眠くなります。これをホメオスタシスによる睡眠圧(プロセスS)と言います。
そして、眠ると睡眠圧が解放され、目覚めるころには眠気がなくなり、すっきりします。
わたしたちの体は、14~16時間ほど覚醒している時間が続くと睡眠圧が高まって自然に眠くなるような仕組みになっているのです。
しかし、徹夜していると、これだけでは説明できないことが起きます。
ホメオスタシスだけだとしたら、徹夜すると時間が経過するにしたがって眠気が溜まっていくはずですが、実際はそうなりません。眠気は夜中の3時頃にピークになり、そのまま起きていると、夜が明ける頃には体温が上昇し、活動性のホルモン・コルチゾールも分泌され、眠気が収まっていきます。
これは、睡眠と覚醒をコントロールしているもうひとつのシステム、生体リズムによる日内変動(プロセスC)です。
生体リズムとは環境の変化に対応するために備わっている機能で、いくつかあるなかで生命活動にもっとも密接に絡んでいるのがサーカディアンリズム(概日リズム)です。サーカディアンリズムは地球の自転に対応し、睡眠・覚醒だけでなく、血圧や体温、ホルモンの生成などもコントロールしています。
わたしたちの体は、サーカディアンリズムが機能することで、太陽が昇ったら覚醒し、太陽が沈んだら徐々に眠くなるというわけです。もし、このリズムがなければ、「昼間に活動して、夜は眠る」というあたりまえの毎日を続けられなくなります。