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「トップ下久保、左に南野、右に伊東のシステムで何がしたいのか」森保監督の“ナゾ采配”に城彰二が呈した苦言《アジアカップ》

AFCアジアカップ2023・城彰二の視点 #2

2024/01/21
note

右サイドを簡単に突破されてしまった理由

――前半のアディショナルタイムには、カウンターから2失点目を喫しました。

 カウンターのお手本のようなやられ方でした。この試合は、菅原(由勢)の右サイドが簡単に突破されすぎだったと思います。彼は、攻撃能力の高さを評価されて起用されているけど、サイドバックなので、まずは守備から入るのが定石。守備のポジショニングが悪く、相手がスペースに走り込んできて、あわやPKかというシーンもあったけど、そういうシーンが多い。

 また、菅原が1対1の対応している時、センターバックがカバーするという意識も見られなかった。個々で守備をやればいいじゃん、みたいな感じになっていて、ドイツ戦で見せてくれた連動した守備はどこにいったのかという感じでした。

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――0-2になっても盛り返す迫力があまり感じられなかったですね。

 これは、ひっくり返すのが大変だなって思いました。前半を見る限り、カタールW杯以降で、最低の前半だったと思います。すべてがうまく行かず、とんでもなく悪かった。開始早々と前半終了間際の2ゴールは、一番注意しなければならない時間帯での失点で、やっちゃいけないことをやれば、そりゃ負けますよ。

開始早々と前半終了間際の2ゴールを奪われた ©時事通信社

なぜ森保監督は流れを変える一手を打てなかったのか

――森保一監督は、選手交代で打開を図ろうとしましたけど、うまく機能しなかったですね。

 うまくいかない時にシステムを変えてみるとか、選手のポジションを変えてみるとか、トライしていけばいいのにと思ったのですが、人を入れ替えるだけ。今まで固定メンバーでポジションをあまり変えずにやってきているので、劇的に流れを変えるような一手が打てないんですよ。

――選手交代に意図は見えましたか。

 まず、冨安(健洋)を入れて前にボールを持ち出して、そこからチャンスを作ろうという狙いは良かったけど、イラクは最終ラインを含めて守備のブロックをしっかり作っていた。そこに前田(大然)とかを入れたけど、相手は待ち構えて守備をしてきたのでスペースもないし、入っても何もできなかった。

 堂安(律)は、何かしようという気持ちを持ってプレーしていたのはわかったけど、周囲と連動してブロックを打ち破るとか、そういう工夫が足りなかった。