2022年のカタールW杯でサッカー日本代表を指揮した森保一監督。先日、2026年W杯までの続投が正式発表された。W杯で指揮を執った日本代表監督が大会後も続投するのは、森保監督が初となる。
元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、森保監督の続投をどう捉えるのか。話を聞いた。
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森保監督の続投決定の前にカタールW杯を総括すべき
――森保一監督の続投が正式に発表されました。カタールW杯で日本代表が敗退して3週間強ですが、この決定についてどう考えていますか。
城彰二さん(以下、城) 順序が違うんじゃないかなと思いますね。続投決定の前に、まずはカタールW杯での日本代表の戦いについて何が良くて、何が悪かったのかをしっかり分析、検証することが大事じゃないですか。
サッカー協会がそれを明確に示し、発表したうえで、次のW杯のためにこの監督を選びましたということであれば理解できるし、ある程度、納得できると思うんです。でも、そういうことが発表されずに「続投です」と言うのは、さすがにちょっと違うんじゃないのって思いますね。
――サッカー協会の森保監督の評価は高かったようですね。
城 確かにドイツ、スペインに勝ってグループリーグを突破したのは監督の手腕。コミュニケーションを取りながら海外組の選手が多いチームをひとつにまとめたのも、森保さんのマネジメント能力の高さを証明するものだと思います。
でも、カタールW杯の目標は、ベスト8だったわけじゃないですか。世論的にも支持されているし、サッカー人気の回復に貢献したからいいでしょうという流れで、特に総括をせず、なし崩し的に決まった感があります。
まずは分析、検証し、総括してから監督を発表するのが本来の流れだと思いますが、それができないのか、しないのか。こんなことをしていたら日本は、今後も世界で勝ち抜くのはキツイのかなと思ってしまいます。
どのように攻撃を構築していくのか具体的な説明がない
――自分たちがボールを握って、攻撃する。選手からも攻撃の改善が叫ばれていましたが、果たして森保監督で攻撃面での構築は可能なのでしょうか。
城 それは、未知ですよね。記者会見では、選手の個の能力の向上について語っていたけど、それは大前提の話で、そこに逃げてもしょうがない。「ボールを保持しながら試合をコントロールする」とも言っていましたが、具体的にどのように構築していくのか。
ボールを握ってボールと人が動く感じなのか、今の状況だと難しいからまずは守備から入り、こういう絡みで厚みのある攻撃を実現していきたいとか、具体的な説明がなくて、抽象的なことしか言わないので、本当に大丈夫なのかなって思ってしまいます。