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「抱かれたい男」→「ゆるふわイケおじ」に…? 53歳になった竹野内豊が放つ“異彩”とは「反町隆史や木村拓哉らとも…」

2024/02/01
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飄々としてどこか憎めないチャーミングさ

 たとえば『イチケイのカラス』では、裁判官の入間みちおを演じていた。原作漫画では小太りのメガネキャラなみちおを、ドラマでは物腰の柔らかな“ヒゲのイケおじ裁判官”という竹野内仕様に変更している。

 裁判有罪率99.9%といわれる刑事事件において「事件に関わる全ての人たちにとって最善の判決を下したい」をモットーに、少しでも別の可能性を感じたら「職権発動」を高らかに宣言し、同僚たちを引き連れて自ら現場検証に赴く。常に自由奔放で周囲を振り回しているものの、飄々としてどこか憎めない主人公だ。

映画『イチケイのカラス』公式Xより

 一方で原作版みちおのカタブツ要素を担ったのが、黒木華が演じた坂間千鶴である。原作では坂間が主人公で、しかも男性なのだが、ドラマ版はフジテレビお得意の男女バディストーリーに仕上げた。共演した黒木はインタビューで「竹野内さんのチャーミングなところがみちおっぽい」と答えており、みちおが普段の竹野内に近い造形であることも窺える。

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『ぎぼむす』を国民的ドラマへと押し上げたキーポイント

 さらに『義母と娘のブルース』で演じた宮本良一は、小学生の娘を持つシングルファザーだ。上司にも可愛がられる朗らかな性格だが、実はスキルス性胃がんを患っており、身寄りのない娘を託そうと再婚相手に選んだのが、ライバル会社で活躍するキャリアウーマンの亜希子(綾瀬はるか)。

竹野内の身長は179cm(『義母と娘のブルース』公式Xより)

 目的達成のためなら手段は選ばず、圧倒的な仕事っぷりの亜希子は、良一にとって“最も頼りになる女性”だったのだ。現に良一より彼女のほうが3倍ほど稼いでおり、仕事と母親業を両立させようと奮闘する亜希子を支えるべく、良一が“寿退社”で一度会社を辞めようとするシーンもある。

 仕事一筋の亜希子も、千鶴と同じくなかなかのカタブツである。真面目すぎるゆえに普段のコミュニケーションが容易ではなく、主人公にしてはとっつきにくい人物でもあるのだが、亜希子と娘・みゆき(横溝菜帆)だけではなく、亜希子と視聴者の仲を取り持ち、『ぎぼむす』を国民的ドラマへと押し上げたのも、竹野内演じる良一だったといえよう。

“男性的なしがらみ”から解放されたキャラクター

「みちお」と「良一」。どちらも肩肘を張らない自然体な竹野内の良さが投影された役なのだが、それと同時に“男性的なしがらみ”から解放されたキャラクターであることも、共通しているのではないだろうか。

「平成の竹野内豊」の代表作『ビーチボーイズ』にも、実はこんなシーンがある。