2023年、ジャニーズ性加害問題で激震が走った旧ジャニーズの新たな“長男役”を担うことになった木村拓哉。そのブレイク作であり、“何をやってもキムタク”以前の貴重な作品である『あすなろ白書』(フジテレビ系)が、放送開始からちょうど30年。この節目の年に、Blu-ray BOXが発売されました。

『あすなろ白書』Blu-ray-BOX(フジテレビe!ショップより) ©柴門ふみ/小学館 ©フジテレビジョン

最終話は視聴率31.9%

 1993年10月から12月まで全11話で放送された『あすなろ白書』は、全話平均視聴率が27%、最終話は大台超えの31.9%を叩き出した大ヒット作。石田ひかり、筒井道隆、鈴木杏樹、西島秀俊、そして木村拓哉の5人が演じた大学生による青春ラブストーリーでした。

 原作は『東京ラブストーリー』の漫画家・柴門ふみ氏の同名コミックスで、主題歌は藤井フミヤのソロデビュー曲「TRUE LOVE」。『あすなろ白書』と聞いて、ダブルミリオン超えの大ヒットとなった「TRUE LOVE」のイントロを、条件反射的に思い出す人も多いのではないでしょうか。

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 木村は石田演じる主人公に片想いする黒縁メガネ男子役。キムタクと言えばモテる男性の役ばかり演じていたイメージがあると思いますが、意外にも本作では“当て馬”役を好演していたのです。

 今回は『あすなろ白書』30周年ということで、当時の木村拓哉の演技を振り返ります。

木村拓哉 ©時事通信社

合コンで一番人気のない役

 ストーリーは念願の大学入学を果たしたなるみ(石田)が、キャンパスで掛居(筒井)、取手(木村)、星香(鈴木)、松岡(西島)と出会い、意気投合して仲良しグループ「あすなろ会」を結成するところから始まります。

 この5人の恋愛模様が複雑に入り乱れる本作ですが、主要キャラ3人に絞って簡単に説明すると、明るく恋愛には慣れないなるみが、クールな男・掛居に恋をし、そんななるみに取手は一目惚れするという相関図。

 黒縁メガネがトレードマークの取手はお調子者のムードメーカーで、女性の前であえてチャラそうな発言をすることはあるものの、本当は真面目でやさしい好青年。なるみに何度かフラれますが、一途に想い続ける健気な男でした。

 それだけでなく、掛居・松岡と合コンに行けば相手の女性から「いい人で終わっちゃうタイプ」と評されて3番手扱いされたり、なるみからは一緒にいても緊張しない、といった恋愛対象外発言をされていたり。現在のパブリックイメージからはかけ離れたキムタクが見られます。