今年の夏の月9はよくも悪くもドラマ業界内外をざわざわさせています。

 月9王道の本格ラブストーリーが帰ってくるからです。

 ダブル主演の森七菜さんと間宮祥太朗さんを中心とした8名の若手俳優が共演する、夏の海が舞台のラブストーリー『真夏のシンデレラ』が7月10日からスタート。月9で本格的恋愛ドラマが放送されるのは2016年7月期の『好きな人がいること』以来、実に7年ぶりとのことです。

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『真夏のシンデレラ』(フジテレビ公式サイトより)

 フジテレビの月曜21時、通称・月9と言えば『東京ラブストーリー』(1991年)、『ロングバケーション』(1996年)、『やまとなでしこ』(2000年)など、その時代時代を象徴する大ヒット恋愛ドラマを生み出してきたドラマ枠。恋愛ドラマこそ月9の王道路線だったのです。

 しかし恋愛ものでは視聴率を取りにくくなっていた時期があり、近年の月9は大幅に路線変更していました。刑事や探偵などを主役とした事件解決もの、弁護士や検事などを主役としたリーガルもの、医者などの医療従事者を主役とした医療ものといったお仕事系ドラマの作品にシフトチェンジし、好評を博しています。

 たとえば事件解決ものだった『ミステリと言う勿れ』(2022年)、リーガルものだった『イチケイのカラス』(2021年)、医療ものだった『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』シリーズ(2019年、2021年)は、いずれも高視聴率を獲得して映画化するほどの人気です(劇場版『ミステリと言う勿れ』は今年9月に公開予定)。

 往年のドラマファンからすれば、あれだけ恋愛ドラマを量産していた月9で7年間も恋愛ものが作られていなかったことを意外に感じることでしょう。

 そんな伝統のドラマ枠で恋愛ドラマがとうとう復活するということで、ドラマ業界関係者やドラマファンをざわつかせているというわけです。

『ビーチボーイズ』が再び話題に

 満を持しての恋愛ドラマ復活と見られているため、『真夏のシンデレラ』はかつての月9の名作恋愛ドラマと比較されることが宿命づけられているように思いますが、同時に本作の発表後、たびたびSNSなどで作品名が挙がっていた非・恋愛ドラマがあったのです。

 それは反町隆史さんと竹野内豊さんがダブル主演した1997年夏の月9ドラマで、『真夏のシンデレラ』と同じく海を舞台にした『ビーチボーイズ』。