第1話のラスト、広末涼子さん演じる少女・真琴の声で、「夏のある国に生まれて、私は幸せだと思う。だって、夏には夏だけの時間の進み方があるような気がするから」というナレーションが入っていました。『ビーチボーイズ』はこの“夏だけの時間の進み方”を見事に作品内に封じ込められたからこそ、成功したのだと感じます。
一方の『真夏のシンデレラ』は、神奈川の湘南エリアの海が舞台。
江の島を中心とした湘南エリアは大人気観光地になっているため、海沿いの国道はおしゃれなお店も多いししょっちゅう渋滞もしているし、このあたり一帯の夏場は休日になると観光客や海水浴客でごった返しています。
どちらも東京都心から日帰りできる海ではあるものの、『ビーチボーイズ』の海はのどかな南国風ビーチだったのに対し、『真夏のシンデレラ』の海はよくも悪くも東京と地続きなイメージのある賑わった都会的ビーチ。
この違いが吉と出るか凶と出るかはまだわかりません。
ただ『真夏のシンデレラ』の予告映像などを見る限り、やはり湘南エリア特有のにぎわった海として描かれており、洗練されたキラキラした都会感が滲み出ていました。ですから『ビーチボーイズ』が醸していた非日常的な海とは、似て非なるものになるのだろうという印象を抱いています。
男女の構図には類似点が
両作は、男女の構図に類似点があります。
『ビーチボーイズ』は恋愛に発展しないものの、反町さんと竹野内さんの主人公2人が海の民宿にやってきて、広末さん演じる民宿オーナーの孫娘と稲森いずみさん演じるスナックのママ・春子とも仲を深めていきます。
『真夏のシンデレラ』も、東京で働く間宮さん演じる主人公・水島健人ら男性3人と、その海辺の街が地元の森さん演じる主人公・蒼井夏海ら女性3人が、出会うところから物語は動き出すようです。
『ビーチボーイズ』も『真夏のシンデレラ』も、主要キャラのうち、男性たちがよそ者で、女性たちがその海辺の街にもともといた住人という構図は同じということです。
さらに言うと、『ビーチボーイズ』の竹野内さんのキャラは東京の一流商社マンながら、仕事でつまづいてしまったことが海に来た理由で、『真夏のシンデレラ』での間宮さんのキャラも、東京の大手建築会社で働くエリートながら仕事に不満があり海に来るという類似性も。