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“恋愛ゼロ”男の友情モノが大ヒット

 千葉にある海の民宿で、一見ソリが合わない反町さん演じる広海(ひろみ)と竹野内さんが演じる海都(かいと)という主人公同士が、絆を深めていくという男の友情ドラマでした。

 月9には夏の海を舞台とした恋愛ドラマとして『君といた夏』(1994年)、『SUMMER NUDE』(2013年)などがありますが、“恋愛ゼロ”のラブストーリーではなかった『ビーチボーイズ』を思い出すドラマファンが多かったのは、それだけの名作だったという証拠でしょう。

『ビーチボーイズ』(BSフジ公式サイトより)

『ビーチボーイズ』は平均視聴率が23%、最高視聴率は26.5%を記録して大ヒットしただけでなく、今なお第一線で活躍中の反町さん、竹野内さんの代表作のひとつとなっており、数字以上に視聴者の記憶に残る作品となっているのかもしれません。放送から26年経った今年の7月26日にはBlu-ray Boxが発売されるので、根強いファンが多いことを伺わせます。

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 そこでここからは、『ビーチボーイズ』と『真夏のシンデレラ』を比較し、共通点や相違点などを考えていきます。

“千葉の穴場ビーチ”と“湘南の都会的ビーチ”の違い

 改めて言うまでもなく、両作の最大の共通点は“夏の海”が舞台だということ。

『ビーチボーイズ』は、竹野内さんのキャラが東京の一流商社マンだったため、たまに都会のシーンがありましたが、物語の大半が千葉の静かな海辺の街で展開していきます。

竹野内豊

 “ひと夏の海”という限られた時間と切り取られた空間を土台にしているため、ドラマ全体が限定的な非日常空間のように描かれており、無性に掻き立てられるセンチメンタリズムが大ヒットの一因になっていたのではないでしょうか。

『ビーチボーイズ』の民宿があるのは千葉の海辺のため、東京から日帰りでも行き来できる距離ではあるものの、田舎町の人気(ひとけ)の少ない穴場ビーチが舞台でした。そのため、牧歌的で時間の流れがスローリーに感じるような雰囲気を醸し出していて、その独特な空気感が大きな魅力にもなっていました。