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あの名作とのリンクも…ビクトル・エリセ83歳、31年ぶりの長編第4作『瞳をとじて』という“奇跡”

2024/02/07

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画, 国際

note

映画を通じて人生を、人生を通じて映画を描く

 これは映画がもたらす奇跡以外のなにものでもない。

 エリセは『瞳をとじて』の中で、老いることの無残さを描いた。一方で、そこに希望の余地も残した。

 現実には奇跡など起きないのかもしれない。しかし奇跡を信じて生きぬくことはできる。信じていれば、あるいは映画のように――。

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 エリセは過去の作品と同様に、本作でも映画館に人々が集い、スクリーンを見上げる場面を用意した。たとえ本作がエリセの最後の作品になったとしても構わない、そう思えるくらい儚く、美しい、奇跡のような場面だ。

 エリセはつまり描きたかったのだろう。映画を通じて人生を、人生を通じて映画を。

 

STORY
映画『別れのまなざし』の撮影中に、主演俳優のフリオは忽然と姿を消した。それから22年後、遺体が見つかることなく、そのまま死亡とみなされた彼の失踪を巡る謎に、あるテレビ番組が迫る。証言者として出演依頼を受けた元映画監督のミゲルは、親友でもあったフリオとの過去を追想し――。

STAFF & CAST
監督・脚本:ビクトル・エリセ/出演:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント /2023年/ スペイン /  169分 /配給:ギャガ/2月9日公開

あの名作とのリンクも…ビクトル・エリセ83歳、31年ぶりの長編第4作『瞳をとじて』という“奇跡”

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