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「オーナーは元ヤクザ」「窃盗は日常茶飯事」中学校の隣に“闇カジノ”が営業していたカオスシティ「足立区」のギョーテン事情

『ルポ 足立区』より #2

2024/02/29

genre : ライフ, 社会

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 このような理由から、周りの親や教師たちの間では「あの家には関わらない方がいい」「文句を言わないほうがいい」といった共通認識があった。下手に刺激して巻き込まれることを避けるため、黙認され続けていたのだ。

 ゲーム屋には、10代のはじめから30代になるまで通った。ある意味、青春時代をどっぷり過ごした場所と言ってもいい。

 中にはそこに集まっているヤクザと仲良くなり、そのまま本職にスカウトされた仲間もいた。さまざまな人間が集まってくるためか、リクルートの現場にもなっていたのだ。

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ゲーム屋の終焉

 しかしそんなゲーム屋も、一昨年(2022年)、その歴史に幕を閉じることとなった。おそらく暴排条例などの影響もあるのだろう。その知らせを聞いたとき、「そりゃそうだろう」と思ったのと同時に、つい最近まで営業していたことに驚いた。

写真はイメージ ©getty

 最後に顔を出したのは、店の最終営業日だった。閉店までの約1週間は毎日24時間ぶっ通しで営業をしており、常に人だかりができていた。

 その日も店の前には車が何台も停まっており、中に入って挨拶をすることもできないほどだった。昔からのオヤジさんの知り合いが詰めかけていたのだろう。当然、強面の連中が詰めかけているわけで、周囲から見ても、この店が放つ異様な空気は際立っていた。

 大物ヤクザの会合か何かのように見えなくもない。ちなみに店がこのような状態になっていても、地域の大人や警察が注意しに来ることは最後までなかった。

ルポ足立区

ルポ足立区

山田 ルイ

彩図社

2024年2月28日 発売

「オーナーは元ヤクザ」「窃盗は日常茶飯事」中学校の隣に“闇カジノ”が営業していたカオスシティ「足立区」のギョーテン事情

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