文春オンライン
《能登半島地震》いまだ断水続く被災地を走り回る「井戸掘りトラック」3.11を知る職人が地下からくみ出す「希望の水」

《能登半島地震》いまだ断水続く被災地を走り回る「井戸掘りトラック」3.11を知る職人が地下からくみ出す「希望の水」

source : 週刊文春

genre : ニュース, 社会

note

 元日の能登半島地震は、家屋や道路だけでなく、張り巡らされた上下水道をズタズタに破壊した。震源地に近い能登半島先端に位置し、壊滅的な被害を受けた珠洲市。2月末現在でも、ほぼ全域で「断水」が続く。

 そんな中、トラックで被災地に駆けつけ、地下水脈を見つけ出す「井戸掘り職人」がいた。西田稔さん(79)だ。1月19日以降、定期的に奥能登入りし、ボランティアのスタッフとともに、井戸掘りや古井戸の再生を続ける。そのスタート地点が、能登半島の最果て、珠洲市だった。

西田さんの「井戸掘り」支援トラック Ⓒ文藝春秋

8つの井戸を掘り、7つの古井戸を再生

「ホームセンターでも買える鉄の単管パイプを地面に打ち込んで、ポンプとホースで掬い上げられるようにする。シンプルで、人力のみで可能です。雨が降れば、水が大地に沁み込む。平野部の地下には、必ず水が流れているんですよ。井戸掘りは、ある程度の規模になると許可や申請がいりますが、ポンプは規定内の内径にしています」

ADVERTISEMENT

 西田さんはボランティア団体が主催する「能登いのちの水プロジェクト」に加わり、2月末時点で、新規に8つの井戸を掘り、7つの古井戸を再生させたという。西田さんの出身は大分県。もとは、トンネル工事の会社を経営していた熟練の“トンネル職人”だ。

関連記事