元日の能登半島地震は、家屋や道路だけでなく、張り巡らされた上下水道をズタズタに破壊した。震源地に近い能登半島先端に位置し、壊滅的な被害を受けた珠洲市。2月末現在でも、ほぼ全域で「断水」が続く。
そんな中、トラックで被災地に駆けつけ、地下水脈を見つけ出す「井戸掘り職人」がいた。西田稔さん(79)だ。1月19日以降、定期的に奥能登入りし、ボランティアのスタッフとともに、井戸掘りや古井戸の再生を続ける。そのスタート地点が、能登半島の最果て、珠洲市だった。
8つの井戸を掘り、7つの古井戸を再生
「ホームセンターでも買える鉄の単管パイプを地面に打ち込んで、ポンプとホースで掬い上げられるようにする。シンプルで、人力のみで可能です。雨が降れば、水が大地に沁み込む。平野部の地下には、必ず水が流れているんですよ。井戸掘りは、ある程度の規模になると許可や申請がいりますが、ポンプは規定内の内径にしています」
西田さんはボランティア団体が主催する「能登いのちの水プロジェクト」に加わり、2月末時点で、新規に8つの井戸を掘り、7つの古井戸を再生させたという。西田さんの出身は大分県。もとは、トンネル工事の会社を経営していた熟練の“トンネル職人”だ。