文春オンライン
《能登半島地震》いまだ断水続く被災地を走り回る「井戸掘りトラック」3.11を知る職人が地下からくみ出す「希望の水」

《能登半島地震》いまだ断水続く被災地を走り回る「井戸掘りトラック」3.11を知る職人が地下からくみ出す「希望の水」

source : 週刊文春

genre : ニュース, 社会

note

井戸を利用して、洗濯機を無料開放

 珠洲市では、避難所のひとつに兵庫県養父市から全国初の移動式ランドリー車が1台派遣されているほか、山の湧き水を運んで洗濯機を回せる場所もあるが、珠洲市中心部にある乗光寺では、西田さんのチームが掘った井戸を利用して、洗濯機を無料開放している。

 乗光寺の坊守・落合誓子さん(77)が語る。

乗光寺外観

「断水が続く中、『洗濯や洗い物が一番困る』という声が多くなっていて、1月22日に井戸を掘ってもらったんです。うちにも井戸は3つあったんですが、水道ができてからは使っていなかったので、泥水だったり、水量が足りなかったりで。西田さんたちが来て、6メートルほど地面を掘ったら大当たり。十数度の水が出ました。水量も十分でした」

ADVERTISEMENT

乗光寺の井戸
乗光寺の洗濯場

 落合さんは、災害ボランティアの手を借りながら、ポンプのそばにカンパなどで購入した二層式洗濯機を4台設置。食器洗いもできるよう水場も設け、利用者が使えるテーブルと椅子も配置した。

 水道施設の復旧が待ち望まれる中、被災経験のある職人の矜持が、地下水のありがたみを再認識させている。

《能登半島地震》いまだ断水続く被災地を走り回る「井戸掘りトラック」3.11を知る職人が地下からくみ出す「希望の水」

週刊文春電子版の最新情報をお届け!

無料メルマガ登録