今回、能登半島の被災地を取材し、多くの方の話を聞いて感じたのは、日常生活を取り戻すために必要不可欠な水道、電気、ガスの復旧が待ち望まれていることだ。そして、津波により被災した家の片付け等で、既に一般ボランティアのニーズも出始めている。しかし、全ての障害になっているのが、道路事情の悪さだ。
喫緊の課題である“道路問題”
インフラの復旧に向けて、全国から応援部隊が既に送り込まれている。応援部隊は被害が少なかった石川県加賀地方や富山県北西部のホテルを拠点とし、能登半島の現場まで通うことが多い。その道のりが渋滞していれば、作業時間の確保が困難となる。東海地方から水道の復旧部隊が派遣される予定だったが、道路事情の悪さから延期になった話も耳にした。
発生から3週間ほどが経過した1月21日時点でも、一般車両は能登方面に行かないよう呼びかけられている。
金沢市や富山県では一般ボランティアの募集が始まっているが、被害が甚大な能登地方では一般ボランティアを派遣する目途は立っていない。輪島市鵠巣地区で話を聞いた男性は「水道、電気も、道路が直らんと直せんわな」と話していた。今後、復旧作業が進むにつれて、ますます交通量の増加が見込まれるため、道路問題は喫緊の課題だ。
発災直後から、道路が原因で救助部隊が何日間も被災地に入ることができず、もどかしさを感じていた人も多いのではないだろうか。
現時点では不通となっていた道路の大部分が通行可能となったが、応急的な復旧が進んでいないため、対向車との離合に時間がかかったり、凹凸の激しい路面で大幅に減速しなければならず、渋滞が解消できていない現状がある。
では、なぜ道路の復旧に時間がかかっているのか。その原因は、半島という立地と険しい地形によるところが大きいだろう。どこからでも出入りができる平地とは異なり、半島は一方向からしか出入りができず、交通路が限られる。
また、能登半島は5つの山地を抱え、北西部は丘陵になっている。特に丘陵部は険しい場所に道路が通っているため、ひとたび崩れると長期戦は避けられない。こうした要因から、道路の復旧が困難を極めているとうかがえる。