なお、東日本大震災の発災当日、国土交通大臣は東北地方整備局に対して、次のように指示を出していた。
「国土交通省の所掌にとらわれず、予算を気にせず、被災地と被災者の救援のために必要なことなど、やれることは全部やりきること」
今回、予算の問題が背景にあるかどうかは定かではないものの、発災直後に行政機関のトップからこのような指示があれば現場は思う存分動けるし、士気が上がることは間違いないだろう。
大事なことなのでもう一度書くが、現場は奮闘している。作業にあたっている土建業者さんは昼夜を問わず作業を続け、疲弊している状態だ。
待機時間が長くなっている緊急消防援助隊
捜索・救援活動を行うため、全国から派遣されている緊急消防援助隊は逐次増員され、今や待機時間が長くなっている。こうした状況に対し、待機時間が長いといった批判もあるが、私は良い傾向だと感じている。人命救助において、疲弊した状態で作業を続けるよりも、交代人員など余裕をもって活動したほうが安全で効率も上がる。民間の土建業者が中心となり行われる道路啓開や応急復旧の現場にも、十分な補給が行われるべきだろう。
当初は自衛隊のほか石川県内の少数の土建業者だけで行われていた道路啓開だが、富山県、新潟県からも応援がくるようになった。自衛隊のホバークラフトによって、未開通区間に建設資材も運搬されている。発災から2週間時点で、道路啓開は8割ほど進捗したという。
発災翌日から、応援に行きたくてずっと待ち構えている土建業者さんが全国にいる。今後、県内外から十分な補給が行われ、道路の応急復旧が急ピッチで進むことを期待したい。そしてインフラの復旧が進み、被災された全ての方が一日も早く日常を取り戻せることを心から願っている。