DIY用品、インテリア用品、園芸用品と、巣ごもり消費に適した商品を数多く取り扱うホームセンターはコロナ禍で大きく売り上げを伸ばした業種のひとつだ。土日祝日になると各地のホームセンターは家族連れなどの多くの客で賑わう。

 しかし、多くの人が店舗を訪れれば“ヤバい客”も紛れ込んでくる。ある従業員は「万引きや女性従業員へのセクハラなどは日常茶飯事、事件寸前のトラブルを起こす客もいます」と語る。

 ホームセンターのヤバい客とはどんな人たちなのか。九州地方と東京郊外の店舗でそれぞれ働く従業員2人に話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

ADVERTISEMENT

◆◆◆

 上野満重さん(仮名、27歳)は九州北部の大型店舗に勤務して8年目のホームセンター従業員だ。おもに担当しているのは観葉植物などの園芸用品。観葉植物は「インテリアグリーン」とも呼ばれ、巣ごもり生活を機に女性のあいだで人気になっている。

──観葉植物のコーナーなら、それほどおかしな客に遭遇しなさそうですが?

上野 おかしな客はたくさんいますよ。理不尽なクレームも毎日のようにあります。たとえば、いま観葉植物は「多肉植物」や「塊根植物」がブームなんですが、そういう人気の品種はネットで探さないと手に入らない場合が多い。ところが、ホームセンターを利用する植物好きのお年寄りは、ネットを使えない人がほとんどです。

©iStock.com

大声で「取り寄せてよ!」とブチ切れてくる

 そのため、うちの店に目当ての植物がないと、大声で「なぜ置いていないの」「取り寄せてよ!」と僕らにブチ切れてくる。ネットを使えるご家族や友人などに相談してみたらいかがですが、と案内しても、それも嫌がるんです。そうかと思えば、1カ月前に購入した観葉植物が枯れたから新しいものと交換しろと言ってきたり……。

──1カ月前に買った植物を交換しろというのはなかなかですね。

上野 「どうしてくれるのよ。交換してよ!」とすごい剣幕なんですが、これはどう見ても店の責任ではない。購入から数日後に枯れたのならわかりますが、1カ月後だと「水のやりすぎ」「日光不足」など、管理者側に原因があると考えられるからです。