生鮮食品や日用品など、あらゆる生活必需品が売られているスーパーマーケット。連日、店にはさまざまな客が訪れるが、そこには想像を超える “ヤバいお客さま”も来店してくる。
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お詫びの品がお目当て?
長年スーパーマーケットの店員として働いている真田美幸さん(仮名)は、日々多種多様なクレームの対応に追われている。客が主張する苦情のなかには、首をかしげたくなるような内容も少なくないという。
「電話で『いちごが傷んでいる』というクレームが入ったのですが、当日に買ったならまだしも、購入したのは2日前。2日前では対応が難しい、と伝えても先方が折れないので、後日店長が粗品を持って謝りに行きました。じつはその人は店で有名なクレーマーで、過去にも『パイナップルが硬すぎる』とか『りんごにキズがついている』とか言っていつも電話をしてくるんです」
店のサービスカウンターには、常にクレーム対応用の粗品が用意されており、粗品ほしさにクレームを言う人も少なくないという。それほど魅力的な品なのだろうか。
「いえいえ、箱ティッシュのセットとかお菓子の詰め合わせとか、店頭で買えるものばかりです。ただ、クレームの相手によってお怒りがおさまらない場合は、1000円相当の品物を店長が家まで持って行くこともありますね。ある男性は、サービスカウンターで『店員の口の利き方がなってない』とさんざん文句を言って、お詫びにお菓子の詰め合わせを渡すと『分かればいい』と言い残して帰っていきました……」
つい数分前まで怒っていたのに、粗品を渡すと笑顔になる客もいるとか。
「生鮮食品のクレームも困りますが、あるお客さんは使い古した電気ポットをカウンターに持ってきて『不良品だから新品と交換してほしい』と騒ぎたてました。保証期限切れで、もちろんレシートもない状態でしたが、あまりの剣幕だったので、こちらからメーカーに掛け合って新品を取り寄せて渡しました……。釈然としませんでしたが、『言ったもん勝ちだね』と同僚と話したのをよく覚えています」